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まえがきNICTは、日本標準時の発生・維持・供給の業務を行っており、そのうちの標準時の供給の手法としては、標準電波、電話回線、ネットワーク等により行われている。電話回線を利用した供給方法としては、1995年からサービスを開始したテレホンJJYと呼ぶ電話回線による時刻供給システムが使われており、NTTの117時報に使われる親時計や、放送局における親時計等の時刻同期等に用いられており、現在では月間アクセス数が17万件に至っている。しかし本システムは、アナログ電話回線を使用したものであることから、現在ではアナログ電話回線用モデムが入手困難となってきていることや、電話回線自体もNGN(Next Generation Network)によりデジタル化されてきており、利用する回線によっては時刻同期精度に影響があることなどから、次世代型の電話回線による時刻供給について検討を行ってきた。その結果、光電話回線を使った新しいシステムを開発し、実験運用を経て2019年に実運用を開始するに至ったので、この新たな時刻供給システム(光テレホンJJY)について、構成と内容を報告する。アナログ電話回線によるテレホンJJY2.1テレホンJJYのシステムと利用の状況テレホンJJY(図1)とは、電話回線による標準時供給システムの愛称として使われているもので、公衆回線網を利用した時刻供給のサービスである。このサービスは1995年から開始され、電話回線の双方向性を12図1 テレホンJJYシステム本稿では、情報通信研究機構(NICT)における標準時の供給手法のうち、電話回線を用いた供給システムについて紹介する。電話回線による時刻供給は従来のアナログ電話回線を用いた手法で永らく利用されてきているが、電話回線網のデジタル化(次世代ネットワーク: Next Generation Network)への対応が必要となった今日における、新たな方式の供給手法を開発し実用に導いた。このシステムについて解説を行う。In this paper, we introduce a time dissemination system using a telephone line in the NICT stan-dard time dissemination method. Though time dissemination via telephone line has been carried out by using conventional analog telephone lines for a long time, it became necessary to develop a new method currently. Here we explain a new dissemination method of digitalization (Next Gen-eration Network) which we developed and led to practical use.3-5 光テレホンJJY3-5Hikari Telephone JJY今村國康 齊藤春夫Kuniyasu IMAMURA and Haruo SAITO453 ⽇本標準時システム

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