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タイムに関する情報や、サーバの識別*3等の他、将来の拡張も可能とした。提供する情報の従来型テレホンJJYとの差異を表3に示す。図7は光テレホンJJYホストシステムの構成図である。データコネクト用ルータはひかり電話回線の数に応じて増設する。RADIUSサーバ、logサーバはアカウントの管理とログの管理を行い2台で冗長構成としている。データコネクトは電話番号による認証で接続を行うので、発信者の電話番号によるアカウント認証をRADIUSにより行っている。NTPサーバにはNICTで開発されたハードウェアサーバ[8]を用いている。このサーバは公開NTPで使用されているものと同等のものであるので、高速処理が可能であるが、ここではその耐クラッキング性能を発揮させている。また、情報の追加のために拡張NTPパケットに対応するよう改修が行われている。このNTPサーバの時刻は日本標準時の基となるUTC(NICT)信号が直接与えられている。なお、複数のルータからのアクセスを1台のNTPサーバで処理しているが、これはこのハードウェアNTPサーバがIP動作ではなく、MAC(Media Access Control)アドレスにより問い合わせがあったルータに対して応答しているため可能となっている。共同研究による実証実験では、本システムの構成で安定運用が可能か、複数同時着信対応が可能かなどについて検証した。システムは安定に稼働し、さらに共同研究先のセイコーソリューションズ(株)から光テレホンJJYに対応したクライアント装置を供給する目処が立ったことから、実験システムを公開して運用[9]を行うこととした。3.5 時刻同期上の問題点時刻同期の上で回線の遅延は重要な影響を与える。これまでの実験においてデータコネクト回線の遅延(上り、下りの相対性や遅延変動)は、ミリ秒の確かさへは大きな影響を与えないレベルであった。しかし、データコネクト回線は帯域確保型であるため、逆に見ると帯域制限されていることになる。光テレホンJJYでは、データ伝送量は多くを必要としないため、最小の課金単位である帯域64 kbpsに固定している。一方、利用する機器はこれに対して非常に高速な通信が行える機器ばかりである。このため、クライアント装置はNTPパケットデータを連続して多数送ろうとした場合、データコネクトの帯域を容易に超えてしまう[10]。図8は連続してパケットを送出した場合に帯域制限がかかり、結果として見かけ上、伝送遅延が起きる様を示している。このように帯域制限にかかると、遅延時間が10 msといった値で変化してしまうので、得られる時刻同期の確かさもその値の1/2である5 ms程度のエラーとして現れてしまうことを利用者側は認識しておく必要がある。この現象による時刻同期エラーは、ホスト側では検知も対応もできないので、クライアント装置は帯域を超えないようにパケットを送出するようにしなければならない。なお、ホスト側は図8 帯域制限と遅延図9 光テレホンJJYシステム←左⽬盛右⽬盛→5ms(左⽬盛)測定回1〜4*3システムは冗長化する予定であるので、クライアントがどのサーバを参照したか識別できる機能として用いる。50   情報通信研究機構研究報告 Vol. 65 No. 2 (2019)3 ⽇本標準時システム

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