クライアントからのパケットに同じデータ量で応答するだけなので、下り回線で帯域制限が発生することはない。運用4.1 実験運用実験運用は2016年5月に開始し、その後、利用登録数は約20ユーザ(利用者回線数)で運用が行われた。実験運用期間中におけるトラブルはほとんど無く、認証サーバのトラブルが発生した程度であった。しかし、サーバは冗長構成であるので、運用に支障なく対応は行えている。2017年3月にはホストシステムを神戸副局にも設置し、2箇所からの供給が行えるように対応を行った。利用者はホストを電話番号で選択利用することが可能となった。ホストの分散化で、従来型テレホンJJYでは行えていなかった広域災害などによるサービス停止のリスク低減が可能となった。4.2 実運用システムとサービス実験運用システムは、バラック的に組み上げて使用してきたものであるため、実運用のためのシステムを新たに構築した(図9)。実運用のシステムは実験システムと構成は同一であるが、ユーザ登録やログ管理などの操作を容易に行えるように、専用のソフトウェアを準備した。実験運用期間約3年を経て、2019年2月より正式な時刻供給サービスとして開始[11]した。本稿執筆時点では正式運用開始から間もないが、実験運用期間からのアクセス数は図10(本部ホストのアクセス数のみ)に示すように、順調に伸びている。共同研究を行ったセイコーソリューションズ(株)では、正式運用開始に合わせてクライアント端末の提供にとどまらず、「タイムマネージドサービス」[12]と称して遠隔監視も行えるサービスの提供を開始している。なお、NICTでは、従来型テレホンJJYは2024年3月末に運用を終了する予定である[11]。4.3 今後の課題光テレホンJJYは、従来型テレホンJJYと比べると利用回線がNTTのひかり電話回線に限定されることや、電話番号認証であることから登録利用が必須なことといった点があるので、利用の自由度は低くならざるを得ない。しかし、それを上回る安定利用や安全な利用が可能となると考えている。今後、利用が増加するとき、十分な安定性が得られているか、システムの再点検は必要となろう。また、従来型テレホンJJY利用者がスムースに移行できるような方策も必要となると考える。例えば、既存のテレホンJJY端末装置にアダプタ等を付ければ、そのまま利用できるようにする技術などである。原理的には十分可能であるが、コスト面で成立するかが難しいところと考える。低廉化できるような開発が行えればと思う。さらに、NTTのNGN網が他事業者と相互接続されるようになった場合、データコネクト回線がどのようになるかなど、不明な要素があるので、その都度回線評価や対応は必要になるであろう。4図10 アクセス数513-5 光テレホンJJY
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