そのうち1つが選択的にUTC(NICT)として出力される。UTC(NICT)の1秒信号、5MHz、10MHz信号が、分配アンプを通して、校正室をはじめ必要な各供給先に標準周波数と1秒パルス信号として送られる。計測システム室から校正室試験室までは、床ケーブルラックにそって約60m長の同軸ケーブル(FSJ1-50A)を使用して信号を伝送している。これらのケーブルの前後には分配アンプが設置(周波数アンプと秒信号アンプ)され、タイムインターバルカウンタ(TIC:Time Interval Counter)や周波数カウンタ(FC:Fre-quency Counter)あるいは、GPS受信機の入力に供給している。これらの各機器には、小型無停電電源UPSが、常時接続されている。校正室のある2号館建物については、免震構造で非常電源装置(発電機)も備えられている。2.1持込み校正システム主な持込み校正の機器はTICと持込み用計算機から構成される。図3に、校正室(試験室)の持込み校正システム(周波数・時刻差)の機器の配置図を示す。校正室試験室は、電磁シールドされており、温度23℃±1℃、湿度50%±10%、電源電圧AC100V±5Vに保たれている。主要機器のTIC(SRS社製SR620)を4台使用し、それぞれが4台の計算機により自動制御され測定を実施する。また、温度湿度及び商用交流電圧データも自動取得され、常時モニタ監視可能である。[4]2.1.1持込み周波数校正持込み周波数校正の測定方法には、時間間隔測定(TIC)法と周波数カウンタ(FC)法がある。周波数偏差が1×10-8より小さい周波数5、10MHzの測定では、TIC法により行い、TICのスタート入力にDUT(被測定の周波数標準器)の信号、ストップ入力にUTC(NICT)の10MHz信号を接続し時刻差を測定する。測定時間は24時間(1440秒間隔測定を60回)であり、その間の平均周波数偏差を求める。TIC法の校正測定能力(CMC:Calibration and Mea-surement Capabilities)は、5×10-14である。CMCは、校正結果に対して証明書等に付すことができる最小の不確かさを表す。従来校正項目にあった1MHzの周波数校正は、平成29年10月末に校正項目から削除した。削除理由は、同年2月実施の顧客アンケートの集計の結果、1MHz周波数校正の利用希望がいなかったためである。周波数5、10MHzの測定で周波数偏差が1×10-8より大きい場合と、周波数範囲が1Hzから100MHzの場合は、FC法(jcss校正は非適用)を適用する。DUTの出力を周波数測定する方法である。測定時間24時間における平均周波数偏差を求める。FC法のCMCは、1×10-7/f+1×10-12(f:測定周波数)である。校正項目の短期安定度測定は周波数標準器の短期(1、10、100、1000秒)の周波数安定度を測定し、再現性の測定は、1回目は通常の周波数偏差の測定結果とDUTを24時間電源オフ後の2回目の周波数偏差の測定結果を比較し、その再現度を見る。[4]TIC法とFC法のその他の顧客との契約条件は、NICTのWebサイト較正のサービス[7]の確認チェックシート(周波数校正)を参照いただきたい。2.1.2 持込み時刻差校正時刻差校正においては、TICのスタート入力にDUT(被測定の原子時計)の1秒信号、ストップ入力にUTC(NICT)の1秒基準信号を接続し1秒パルス信号間の時刻差を測定する。この測定を100回行い、平均値を求める。UTC(NICT)との時刻差測定のCMCは4(ナノ秒:以下ns)である。また、UTCとの時刻差測定(予測)とUTCとの時刻差測定(後処理)のそれぞれのCMCは、60nsと20nsである。なお、時刻差測定(予測)には、UTC-UTC(NICT)のリンク不確かさ及び国際度量衡局(BIPM:International Committee for Weights and Measures)の月例報告Circular T[9]公表前から最大1か月前に予測計算するために発生するUTC(NICT)の推定不確かさが含まれる。また、時刻差測定(後処理)には、UTC-UTC(NICT)のリンク不確かさが含まれる。図3 持込み校正システム 機器の配置図オシロスコープスタート端子ストップ端子カウンター分配増幅器周波数変換器信号分配パネル信号分配パネルオシロスコープスタート端子ストップ端子カウンター分配増幅器周波数変換器信号分配パネル信号分配パネル553-6 周波数・時刻差校正
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