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波数も決定される。表1に報告を寄せた機関名と、2017年の作業部会で考慮されたこれまでのすべての周波数比の報告数を示す。絶対周波数測定、光–光周波数比測定、双方において87Srが多数の報告を占めており、光周波数標準の中でハブとして機能していることが分かる。またマトリクスの右上半部分にはこれまで報告があった光–光周波数比測定における不確かさを青色にて示した。現在、アルミニウムイオン(Al+)について9.5×10-19の不確かさが報告され、これが最小値となっており、その他に171Yb+(E3), 87Sr, 171Ybにおいて18乗台前半の不確かさが報告されている。再定義への必要条件CCTFにおける秒の再定義へ向けての具体的な議論は2015年に初めてなされ、これを受け2017年のCCTFに向けて、Strategic Planning作業部会、周波数標準作業部会が合同で技術的な議論を開始した。これらの議論とCCTF2017での議論の結果は[11]にまとめられて出版され、現時点でのコミュニティの共通認識となっている。そこでは再定義のための必要条件として5つが上げられている。1少なくとも3個体以上の光周波数標準がその時点での最も不確かさの小さいセシウム周波数標準より2桁以上小さい不確かさを実現すること2少なくとも一方が1に当たる周波数標準間で独立した周波数比較が3つ以上行われ、5×10-18以下の不確かさでその周波数一致が確認されること。この周波数一致は、可搬周波数標準、遠距離周波数比較、複数原子種間の周波数比のクロージャー、で行われる。31の周波数標準の絶対周波数測定が3つ以上の独立したセシウム周波数標準でなされ、この測定がセシウム周波数標準の不確かさで制限された形でその周波数一致が確認されること4光周波数標準が国際原子時の維持に定常的に貢献すること5光周波数標準の5つ以上の組合せによる周波数比について、複数の研究機関で測定がなされ、それらが5×10-18以下の不確かさで一致すること1については、本稿執筆の時点(2019年7月)で最も確度の高いセシウム周波数標準の不確かさが1.7×10-16[1]であり、一方NISTのAl+[12]及び171Yb[13]がこれを2桁以上上回る不確かさとなっている。またJILAの87Sr、PTBの171Yb+の不確かさはそれぞれ2.1×10-18[14]、2.7×10-18[15]となっており、おおむね満たされていると言える状態である。3 不確かさ 報告数 光‐光周波数⽐における計測ペア 機関名  ULOR (10‐16) usys (10-17) vs. マイクロ波 vs. 光 115In+ 199Hg 27Al+ 199Hg+ 171Yb+ (E2) 171Yb+ (E3) 171Yb 88Sr+ 88Sr 87Sr 40Ca+  115In+ 160 370 3 NICT 199Hg 5 8.4 3 2 4 2.2 SYRTE, RIKEN 27Al+ 19 0.095 1 1 5.5 NIST 199Hg+ 19 1.9 1 1 1 NIST 171Yb+ (E2) 6 61 5 2 36 NPL, PTB 171Yb+ (E3) 6 0.27 5 1 1 NPL, PTB 171Yb 5 0.14 6 3 5.5 KRISS, INRIM, NIST, NMIJ, RIKEN 40Ca 180 2 NIST, PTB 88Sr+ 15 1.5 5 2.3 NPL, NRC 88Sr 6 58 3 1 UT, NCU 87Sr 4 0.21 17 7 2 3 1 250 JILA, NICT, NIM, NMIJ, PTB, RIKEN, SYRTE, UT, 40Ca+ 24 7.7 4 1 1 Innsbruck, NICT, WIPM 87Rb 7 3 2 1 1 SYRTE  光−光直接⽐率測定の不確かさ (×10‐17) CCTF2017への報告数 表1CCTF2017での光及びマイクロ波周波数標準の推奨周波数決定に利用されたデータ。太字の原子遷移は秒の二次表現。uLOR, usysはそれぞれCCTF2017での推奨周波数の不確かさと報告された周波数標準の系統誤差の不確かさ。634-1 秒の再定義に向けた国際動向

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