(3) 日本標準時システムで測定しているUTC(NICT)と水素メーザーの位相差から、LTO; 10days)/) 10days) を取得する。(4) Circular Tにはおよそ1か月間のTAI秒の校正値も報告されるため、この期間の平均周波数比(I;30days)(SI;30days) を得られるが、この校正値を使うにはNICT-Sr1で評価していない間のTAIの周波数揺らぎに起因する不確かさ(これもデッドタイム不確かさ)を考えなければならない。そこで、BIPMのPetit博士が我々の測定した10日間での平均周波数比(I)(SI) を計算し、本評価ではこれを採用した。10日間の平均値では30日から10日へ平均化時間が短縮されるため、統計不確かさが大きくなるが、その一方で、デッドタイム不確かさを考慮する必要はなくなる。以上により、(2)式を使って最初に設定したNICT-Sr1の周波数のSI秒からのずれ(S)(SI) を評価し、絶対周波数を決定した。このような測定キャンペーンを3回(10日×3回)実施して、各キャンペーンの不確かさを重みとした平均から絶対周波数を決定した。この測定で考慮した不確かさを表2に示す(詳細は文献[2]に譲る)。一次周波数標準によるTAI秒の校正では、一次周波数標準の系統不確かさも考慮される。ここでは、NICT-Sr1の測定期間にTAIを評価していた複数の一次周波数標準のお互いに相関のない不確かさが平均化される[22]ことを利用している。このようにして、不確かさ4.3×10–16で絶対周波数を決定した。CCTF2012会議以降に報告された各機関の87Sr 1S0 – 3P0の絶対周波数を図7に示す。仏国LNE-SYRTEと独国PTBの87Sr光格子時計は、各機関が持する世界最高精度級の一次周波数標準を基準にして、光格子時計を連続運用して絶対周波数を決定した。私たちの結果は彼らの結果と16桁台の不確かさで一致している。これらの結果を踏まえ、2017年に行われたCCTF2017会議において秒の定義の二次表現である同遷移の推奨周波数値がν2017(Sr) = 429 228 004 229 873.0Hzに更新された(図7のオレンジの線から青の線に更新)。TAIを利用した絶対周波数測定のひとつのメリットは、TAIは多数の周波数標準を基に決定されることから、特定の周波数標準に依存しないため、我々はより確からしい絶対周波数が得られると考えている。現在、我々と同様のIntermittent評価法を用いて、英国NPLでは単一イッテルビウム(171Yb+)光イオン時計の八重極遷移2S1/2 – 2F7/2の絶対周波数[32]を、米国NISTではイッテルビウム光格子時計の1S0 – 3P0遷移の絶対周波数[33]をそれぞれ報告している。NICT-Sr1の二次周波数標準の認定世界の十数台のセシウム一次周波数標準及びLNE-SYRTEのルビジウム二次周波数標準は、定常的にTAI秒の校正に寄与している。現在この校正への貢献にはCCTFの一次及び二次周波数標準作業部会WG-PSFS(Working Group on Primary and Secondary Frequency Standards)からの校正資格の承認が必要である。これまでの一次及び二次周波数標準は、マイクロ波帯の原子遷移に基づく周波数標準である。我々は2016年の4月から9月までの半年間と2018年2月5表2 2016年に実施したNICT-Sr1の絶対周波数測定の不確かさ3回の測定キャンペーンのうちの一つ(#2)と全測定の不確かさを示す。キャンペーン#2 (10–17)計(10–17)NICT-Sr1 統計21 系統66重力シフト22水素メーザー フィッティング1810 デッドタイム106UTC−UTC(NICT)4928UTC−SI second(50) 系統1514 ランダム部分4826計7343図7CCTF2015及びCCTF2017で更新した推奨周波数をそれぞれオレンジと青の実線で示す。また、それぞれの不確かさは5×10-16と4×10-16であり、破線で示している。(SYRTE2013[25], NMIJ2013[26], PTB2014[27], NIM2015[28], NMIJ2015[29], PTB2016[30], SYRTE2016[31], NICT rev.2015[22], NICT2017[2])71.572.072.573.073.574.074.575.075.5CCTF2017NICT2017NICTrev.2015SYRTE2016PTB2016PTB2016NMIJ2015NIM2015PTB2014NMIJ2013SYRTE2013CCTF2015854-3 NICTにおけるストロンチウム光格子時計の開発
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