秒評価期間で偏らないように等間隔に測定し[18]、絶対周波数測定の時と同様にして、デッドタイム不確かさを評価した。表3には、BIPMに提出する実際のTAI秒評価報告には必要ないが、目安のためにTAIとUTC(NICT)の時刻・周波数比較の不確かさul/Taiも含めている。87Srの光学遷移は秒の二次表現なので、TAI校正では二次周波数標準に付加される不確かさuSrep = 4×10–16を考慮する必要があるが、現行の一次周波数標準の不確かさと比較するために表3には含めていない。この二次周波数標準の不確かさを除いて、この期間では他の一次周波数標準と同等な3.9×10–16でTAIを評価できることが示せた。同様に7か月間のTAI秒の評価結果を表4に示す。ここでも目安のためにUTC−UTC(NICT)の不確かさを含めている。この不確かさは2016の4月から9月は0.3ns、2018の2月は0.4nsであった。また、ここではuSrepを含めた場合も示している。この期間を通して、不確かさ4×10–16程度で評価できている。この一連の結果を独仏の一次周波数標準PTB-SF2とSYRTE-FO2による評価と共に図9に示す。このプロットにも、uSrepは含めていない。このようにして、NICT-Sr1が一次周波数標準と整合性ある評価ができることを実証した。あとがき秒の再定義前後でSI秒の連続性を保つことは重要課題のひとつである。そのため、光周波数標準の絶対周波数の精度や再現性を追求することは秒の再定義に不可欠となっている。この要求に応えるため我々は、特定の一次周波数標準に依存しない、より多くの一次周波数標準などで校正されたTAIを利用して絶対周波数を測定している。この一方で、NICTが運用する一次周波数標準NICT-CsF1 [37]を基準に絶対周波数を測定することで、衛星リンクによる不確かさの影響を受けない、より不確かさの小さい測定も計画している。このように異なるアプローチで絶対周波数を評価することで、値の信頼性を確保し、再定義の際の周波数値決定に貢献できるよう努めていく。6表3 Intermittent評価法によるNICT-Sr1を基準にした1か月間のTAI秒評価効果不確かさ(10–16)uAuBul/LabuAuBuA/Sr0.31✓uB0.70✓HM(フィッティング)2.60✓HM(デッドタイム)1.76✓DMTD0.45✓光–マイクロ波比較/マイクロ波伝送1✓ul/Tai1.96−−−Circular Tの表記0.310.703.3計3.9表4 Intermittent評価法によるNICT-Sr1を基準にした7か月間のTAI秒評価 表中の不確かさの単位は10–16である。評価期間(MJD)57474 –5750457504 –5753957539 –5756957569 –5759957599 –5762957629 –5765958149 –581742016年4月2016年5月2016年6月2016年7月2016年8月2016年9月2018年2月uA0.300.280.300.300.270.300.29uB0.820.750.760.640.610.600.73ul/Lab3.633.143.103.053.273.472.93ul/Tai1.961.701.961.961.961.963.08計4.23.73.83.73.94.04.3uSrep4444444計(incl. uSrep)5.85.45.55.45.65.75.9874-3 NICTにおけるストロンチウム光格子時計の開発
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