プ及び伝搬型SPPsは互いに干渉を引き起こし、Fano共鳴が誘起される。図14(d)におけるインセットで見られた消光比スペクトルにおける非対称性はFano干渉によるものである。これらの解析からギャップSPPsのみが励起される場合には消光比の増強効果は大きくないことも分かる。分散関係と電磁場分布の解析から、超高消光比は伝搬型とギャップSPPs間のFano共鳴によって引き起こされていることが分かった。2.3.2.2構造パラメータと消光比との関係固有モーとその分散関係の解析に続き、メタ表面偏光子の構造パラメータが光学応答にどのような影響を与えるのかを考え、どのようにしてメタ表面偏光子を設計すれば良いのかを議論する。本稿では、Al2O3薄膜の厚み( )、周期( )、そしてグレーティングの高さ( )の3つの構造パラメータを変化させる。あるパラメータを掃引している場合は、他のパラメータは本稿の最初に示した値に固定する。注目する光学応答は 及び 偏光に対する反射スペクトル( 及び )とその比/ で定義される消光比である。設計指針の議論を通じて、我々が本稿で最初に示した構造パラメータを選んだ理由も明らかにする。図17(a), (b), (c)では, そして消光比を の関数として擬カラー表示している。図5(b)の には、放射状の直線が3つ見られるが、これはそれぞれAl2O3薄膜内のFabry-Pérotモーに対応している。また、深紫外光領域には線幅の狭い曲線が2つある。このモーは長波長側にモーが存在せず、カットオフがあることから、導波路モーである。 と同様に にも放射状の線が見られ、Fabry-Pérotモーに対応しているが、他のモーとの相互作用によって直線が歪ゆがんでいる。赤矢印で示した位置にあるモーは に依存せず、垂直に伸びる特徴がある。これは波長と構造パラメータに依存していないことから、伝搬型SPPsであることが分かる。その他のモーは局在型SPPsであるとアサインされる2つの異なるSPPsが交わる近傍で(例えば、波長260 nmかつ ∼20 nm)、 が極めて小さくなっており、2つのSPPs間におけるFano共鳴によって反射率が低減する。 が劇的に減少するに伴い、消光比が劇的に増強している。メタ表(d)(a)(b)(c)(f)(e)(g)(h)(i)図17Rx, Ryそして消光比スペクトルの擬カラープロット、掃引変数としてAl2O3の厚み(a), (b), (c), 周期(d), (e), (f),そしてグレーティングの高さ(g), (h), (i)をとった。96 情報通信研究機構研究報告 Vol.66 No.2 (2020)4 環境制御ICT基盤技術 —基盤から社会展開まで—
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