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面偏光子は 偏光に対しては広帯域高反射ミラーとして動作し、 偏光に対しては極めて小さな反射率を持つことが望ましい。したがって、これらの条件を満たすためには を20 nm以下にするべきであることが分かる。図17 (d), (e), (f)では, そして消光比を の関数として擬カラー表示している。 には線幅がブローで低反射率を示すモーが存在しているが、これは局在型SPPs励起に対応している。さらに、UV領域(波長≤400 nm)に線幅が比較的狭いモーが存在している。このモーは周期 を大きくするにつれ長波長側にシフトし、おおよそP の位置に存在していることから分かるように、伝搬型SPPs励起に対応している。これら2つのSPPsが交差する近傍で が破壊的干渉によって大きく低減している。一方、 にはほぼ特徴が無い。メタ表面は 偏光に対しては高反射ミラーとして働き、その性能は周期にはほとんど依存していない。 偏光に対する光学応答はほとんど波長及び周期に依存していないので、消光比の周期依存性は でほぼ決まることになる。結果として、深紫外光領域の消光比は2つのSPPs間の破壊的干渉による の低減によって極めて大きな値となる。これらの計算結果から、周期 は設計波長の近傍で伝搬型SPPsが励起されるように決めるべきであることが分かる。図17 (g), (h), (i)では, そして消光比を の関数として擬カラー表示している。まず 偏光に注目すると、 の波長260 nm近傍において赤矢印で示したモーがグレーティングの高さに依存しない特徴を持つ。このモーは伝搬型SPPsにアサインされる。このほかにブローな幅のモーがあるが、これらは局在型SPPsに分類される。これら2つの異なるタイプのSPPsが交差する点の近傍で、SPPs間の破壊的干渉により は極めて小さな値になる。このような干渉効果はグレーティングの高さが20 nmほどの薄さでも実現している。一方で、 偏光に対してはグレーティングが結合層としての役割を果たさず、 には際立った特徴はない。 偏光に対する光学応答はほとんど波長及びグレーティングの高さに依存していないので、消光比の周期依存性は でほぼ決まることになる。結果として、 が劇的に減少すると、消光比が劇的に増強されることになる。これらの計算結果から、グレーティングの高さはSPPs間の破壊的干渉により を減じるように最適化すればよいことが分かる。光学応答の構造パラメータ依存性を調べた結果、高性能メタ表面DUV偏光子の設計指針は次のようにまとめられる。Al2O3薄膜の厚みは、 偏光に対してモーが励起されないように薄くしつつ、 偏光に対してはAlグレーティングとAl薄膜間でギャップSPPsが励起される程度の厚みを持つように設計すべきである。メタ表面の周期は伝搬型SPPsが動作波長帯域で 偏光に対して励起されるように設計すべきである。Alグレーティングの高さは伝搬型と局在型SPPsによって が低くなるように設計・最適化すべきである。これらのパラメータに加えて、最下層のAl金属膜の厚さについて述べておきたい。Al膜があまりにも厚すぎる場合、Al/石英基板界面における伝搬型SPPsが効率良く励起できない。したがって、最下層のAl薄膜の厚みはSPPsの侵入長(深紫外光領域で15 nmほど)と同程度に調整するべきである。これらの設計指針に基づいて構造パラメータを最適化したところ、本稿の最初に示したパラメータ15 nm, 150 nm, 20 nm,そして25 nmに最適化した。これらのトータルの厚み(60 nm)は入射波長(~260 nm)に対して十分薄く、なおかつ超高消光比がサブ波長の厚みで実現しており、本稿で示した金属/誘電体/金属構造をメタ表面と呼ぶことができる。2.3.2.3入射角45°用偏光子の設計これまでに、深紫外光領域で6.2×106を超える消光比を持つメタ表面偏光子を数値計算で設計し、その設計指針について述べてきた。数値計算で示された消光比はプリズムを使った偏光子が持つ消光比と同程度であり、極めて高い性能を持つ。しかし、設計したメタ表面偏光子は垂直入射で動作し、偏光を分離するためにハーフミラーが必要となる。ハーフミラーを2回透過すると光強度は入射時と比較して4分の1に低減してしまう。さらに、消光比のバン帯域が極めて小さく、100以上の消光比を持つ帯域が13 nm程度となっている。これらは実用上好ましくない性質であり、改善する必要がある。したがって、ハーフミラーを必要としない45°入射(図18(a))でバン帯域が改善されたメタ表面DUV偏光子を示す。この配置では、構造パラメータが125 nm, 20 nm, 18 nm,そして25 nmに最適化された。図18(b)に示すスペクトルは、p偏光に対する反射( )、透過、吸収スペクトルである。図16(a)の反射スペクトルと同様に、図18(b)の反射スペクトルも4つのディップを持つ。最低及び最高エネルギー側のディップはそれぞれ1次及び2次のギャップSPPs励起に対応している。波長270 nmと305 nm近傍で分裂しているモーはギャップ型と伝搬型SPPsのハイブリッモーである。これら2つのSPPsの干渉効果によって波長300 nm近傍で反射スペクトルが極めて小さな値となっている。垂直入射の場合と同様に、 偏光に対しては、メタ表面偏光子は際立った特徴を示さず、単なる高反射ミラーとして動作する(図18 (c))。図18(d)は消光比スペクトルを示している。波長300nm974-2-2 深紫外偏光制御デバイスの研究開発

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