近傍の2つのピークは高エネルギー側からそれぞれ2.78×104と1.29×104とである。これらの基本的な光学応答は垂直入射の場合と同様であり、高消光比は2つのギャップ及び伝搬型SPPsモー間のFano干渉が起源である点も同様である。垂直入射の場合と比較して、消光比は3桁ほど低減してしまっているが、104ほどの消光比であれば実用上の問題はない。さらに、消光比100以上のバン帯域は31 nmほどになっており、垂直入射の場合の2.4倍ほどに広帯域化されている。2.3.3実験によるメタ表面DUV偏光子の検証入射角45°で動作する深紫外光領域におけるメタ表面偏光子を実際に作製し、その性能を検証する。第3層の厚み25 nmのAl金属膜はRFマグネトロンスパッタリング(NMS-2000, ULVAC)で作製し、第2層の厚み18 nmのAl2O3層は原子層堆積(Atomic Layer Deposition; ALD)(R-200 Advanced, Picosun)で作製した。Al2O3層の上にスピンコートされた電子線レジスト(ZEP520A, ZEON)を電子線リソグラフィー装置(ELS7500-EX, ELIONIX)でパターニングし、その後現像した。最終的に、第1層のAlグレーティングを電子線蒸着(EB-350T, EIKO)とリフトオフプロセスによって作製した。図19に示すのは、作製したメタ表面DUV偏光子の光学顕微鏡写真(a)及びSEM画像(b), (c)である。SEM画像を見ると、グレーティングのエッジは丸まっており、断面プロファイルは矩形状グレーティングとは異なっている。基板のサイズは10 mm×10 mm×1 mmであり、パターンエリアは4.5 mm×4.5 mmであった。反射スペクトルは深紫外光領域から赤外線領域まで(a)(b)(c)図19 作製したメタ表面偏光子の(a)光学顕微鏡写真、走査型電子顕微鏡(SEM)の(b)上面及び(c)断面図。250300350400450500550600100101102103104105Extinction Ratio25030035040045050055060010-510-410-310-210-1100Reflectance00.20.40.60.81Transmittance, AbsorptanceReflectanceTransmittanceAbsorptance25030035040045050055060000.20.40.60.81Optical SpectraReflectanceTransmittanceAbsorptance(a)(b)(c)(d)Wavelength (nm)Wavelength (nm)Wavelength (nm)図18 (a)入射角45°用に設計したメタ表面の動作模式図、(b)x偏光及び(c)y偏光に対する光学スペクトル、(d)消光比スペクトル。98 情報通信研究機構研究報告 Vol.66 No.2 (2020)4 環境制御ICT基盤技術 —基盤から社会展開まで—
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