動度(µ)、シートキャリア濃度(Ns)、シート抵抗(ρ□)、コンタクト抵抗(Rc)である。なお、RcはTLM(Trans-mission Line Method)法により見積もった。InAlNバリア厚が10nmから2nmになると、µは846 cm2/Vsから1720 cm2/Vsに増加する一方、Nsは2.83×1013cm-2から1.16×1013 cm-2に減少するため、ρ□はInAlNバリア層5 nmで最小値(214 Ω/sq.)を示した。一方、Rcの最小値(0.17 Ωmm)はInAlNバリア層2nmで示された。なお、InAlNバリア層3 nmではSiC基板とGaN基板による差異は認められなかった。図5は微細T型ゲートを有するGaN-HEMTの作製プロセスである。紫外線(Ultra-Violet: UV)及び電子ビーム(Electron Beam: EB)を用いたリソグラフィ技術により、Lg、ゲート幅(Wg)及びソース・レイン電極間距離(LSD)をそれぞれ短縮し、Lg = 35~140 nm、Wg = 50 µm×2、LSD = 0.75 µmである。なお、ソース電極・レイン電極にTi/Alを、ゲート電極にTi/Pt/Auを使用した。なお、GaN-HEMTの高速・高周波特性の向上のため、Lgを100 nm以下に短縮するとともにエピタキシャル結晶表面の保護やショットキー界面の安定化を試みた結果、三層絶縁膜SiN/SiO2/SiN構造を開発・導入した[23][24]。この三層絶縁膜の最下層SiNにより(1)GaNエピタキシャル結晶表面の安定化を、中間層SiO2により(2)微細ゲート作製時のプロセスダメージの除去を、さらに最上層SiNにより(3)微細ゲート電極の機械的支持を同時実現する [17]。なお、SiNはホットワイヤーCVD(Chemical Vapor De-position)法により形成した。この三層絶縁膜の最下層SiN上にゲート電極を直接形成するとMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型HEMTになる一方で、このSiNをフッ素(F)系反応性イオンエッチング(Reac-tive Ion Etching: RIE)による選択的エッチングなどにより除去した後、InAlN層上にゲート電極を形成することによりMES(Metal-Semiconductor)型HEMTを容易に、かつ同一基板上に作製可能である [25]。図6はサファイア、SiC及びGaN基板上に作製したIn0.18Al0.82N/AlN/GaN-HEMTの断面の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)像である。なお、図6(d)に示すとおり、最下層SiNの膜厚は2.5 nmで設計どおりであった。また、サファイア及びSiC基板上のGaNエピ層に生じた貫通欠陥密度は約2×109 cm-2であるのに対して、GaN基板上では7×107 cm-2以下と2桁以上も少ないことも断面TEM写真から判明した。2.4GaN系HEMTの高周波特性作製したMIS型HEMT及びMES型HEMTについて、fT及びfmaxのLg及びInAlNバリア層の膜厚依存(d)図6(a)サファイア基板上、(b)SiC基板上、(c)GaN基板上にそれぞれ作製されたIn0.18Al0.82N/AlN/GaN HEMTの断面TEM像と(d)GaN基板上HEMTのT型ゲート電極のフット部(Lg = 70 nm)(a)(b)(c)493-1 ミリ波・テラヘルツ波帯無線通信を実現する化合物半導体電子デバイス技術と高周波計測技術
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