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性を得るもので、プロービング・ステーションによりDUTや高周波プローブの位置をマイクロメートル以下の高精度で制御する(図11)。なお、図12のように高周波プローブやプロービング・ステーションを使用することなく、DUTを周波数エクステンダに直接接続し、導波管インターフェースを有する高周波部品のSパラメータも測定可能である。測定周波数帯域はVNA若しくは周波数エクステンダの動作上限周波数により決定され、我々のグループでは現在1100 GHz(= 1.1 THz)までのSパラメータを取得可能である。またスペクトラムアナライザ機能を追加したネットワークアナライザを用いることにより、Sパラメータと信号スペクトルの両方が測定可能である。3.2アンテナ放射パターン測定3.1のVNA及び周波数エクステンダと2軸マウントを組み合わせることにより、アンテナの放射パターンや利得なども測定可能である。図13は電波暗室内に構築したアンテナ放射パターン評価システムで、送信側の2軸マウントのAZ(azimuth: 方位角)軸及びEL(elevation: 仰角)軸の回転を高精度で制御することにより、各軸のアンテナ放射パターンを測定できる。なお、アンテナは送信・受信側マウントにある周波数エクステンダにそれぞれ接続する。図14に300GHz帯方形導波管ホーンアンテナ(Aperture diameter:5.6mm、Horn length:26.5 mm)の放射パターンで、アンテナ間距離は1500 mmである。これにより、アンテナ放射パターンはAZ軸及びEL軸で対称であること、放射パターン半値幅(Bandwidth at 3-dB level)が10.2~10.7°であること、さらにはサイローブ特性も判別可能であることが分かる。3.3更なる高周波計測技術近年、電子デバイスや集積回路(IC)は、ガリウム砒素(GaAs)やInP、サファイア(Al2O3)、SiC、GaN及びSiなどの半導体だけでなく、セラミックやガラスエポキシ、ポリイミ、テフロンなど様々な材質の基板上に作製されている。また電子デバイスが高速・高周波化し、かつICがモノリシック化するにつれて、高図12 VNA及び周波数エクステンダ(DC~1.1 THz)図13 アンテナ放射パターン評価システム(電波暗室内)図14 300 GHz帯方形導波管ホーンアンテナの放射パターン図11 オンウェハ・プロービング測定評価システム52   情報通信研究機構研究報告 Vol.66 No.2 (2020)3 超高周波ICT基盤技術  —素子から回路まで—

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