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い透過率が生じることがこれまでに報告されている[44]。この依存性は図3、4に示されており、 がバーの長さに強く依存していることが分かる。局在型SPPsに対する共鳴条件はバーの長さに強く依存している。この長さが増加するにつれて破壊的干渉が生じ、透過率が低くなる。この長さが、ある最適値を超えると干渉効果が減じ、透過率が増加に転じる。このような干渉効果はバーに非対称性を導入することで厳密に制御することができ、極めて小さな透過率が実現する。そのような反共鳴的性質に加え、極めて鋭いディップの両サイには伝搬型と局在型SPPsに対応する2つの共鳴構造があることが分かる。これらの特徴は共鳴近傍における の主な特徴と極めて類似している(図9(a)の赤線)。このように、 の特徴は連結振動子モデルで非常にうまく説明することができ、超高消光比を生み出す極めて小さな透過率が2つのSPPs間の干渉効果であることを示している。この種の干渉効果は金属/絶縁体/金属(Metal/Insulator/Metal: MIM)構造で報告されており、最上層の金属層は局在型SPPs共鳴を示し、最下層の金属層は伝搬型SPPs共鳴を示すものが知られている[45][46]。先行研究と類似し、本研究におけるメタ表面偏光子は両金属層が局在型SPPsを示し、最上層のみが伝搬型SPPs共鳴を示す。我々の設計では、メタ表面は 偏光に対してFano共鳴を示し、 偏光に対しては局在型SPPsのみが励起されるように設計してある。この偏光依存光学応答が透過特性に強い異方性をもたらしているのである。2.2.3超高消光比が発現する物理的メカニズムメタ表面の分散関係、電磁場分布、そして結合振動子モデルから超高性能を生じる物理的機構を表したダイアグラムを図10に示す。 偏光に対しては、最上層の金属構造は局在SPPs共鳴を示し、高い透過率を持つ。異方性を導入することによって最上層は 偏光に対して非共鳴となるように設計されているので、 は低い値となる。バビネの原理から、最上層に対してネガポジ反転した構造(最下層)は高い を持つ。全体の透過率は個々の構造の透過率の掛け算で与えられ、結果として全体的に高い透過率を持つ。このメカニズムは先行研究と同じである[32]。対照的に、最下層の構造は 偏光に対しては局在型SPPs共鳴を持つと同時に、周期が伝搬型SPPs共鳴を持つように設計されている。これらの局在型及び伝搬型SPPs共鳴が破壊的干渉の条件を満たすように干渉した場合、 は極めて低い値となり、結果として極めて高い消光比が実現することになる。このように、バビネの原理と2つの異なる種類のSPPs間の破壊的干渉によって、メタ表面が極めて高性能な偏光子として動作する。このスキームにおいては、透過率の極小化はFano干渉による効果として知られている。この干渉効果は先行研究で消光比の増大の妨となっていた金属損失があっても生じる。このような損失による制約が無く、超高消光比が発現するメカニズムも異なるため、本研究におけるメタ表面偏光子は先行研究で報告された消光比よりもはるかに高い値を持つことになる。ここで、このようなスキームが成り立つための条件High (Low )In-resonanceHigh (Low )In-resonanceLow (High )Off-resonanceLow (High )Off-resonanceStackSeparateBabinet’sprinciplePropagating SPP resonanceInterferenceProductExtremely low High 図10 超高消光比が生じるメカニズムを示したダイアグラム914-2-2 深紫外偏光制御デバイスの研究開発

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