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徴の無い応答を示すことがわかる。唯一、空気側の2次回折のチャンネルが開く分散曲線が見える程度である。既に垂直入射において示したように、メタ表面偏光子は 偏光に対しては極めて小さな反射率が実現し、 偏光に対しては高い反射率を持つ。分散曲線からp偏光に対してはFano共鳴として知られる2つのモー間の破壊的干渉により極めて小さな反射率が実現していることが分かる。一方、s偏光に対しては非回折領域でモーが存在せず、単なる反射ミラーとして振る舞う。結果として、メタ表面は、6.2×106を超える消光比を持つ高い性能を有することになる。そのような超高消光比を引き起こす固有モーを明らかにするために、メタ表面偏光子に発生する近接電磁場分布を計算する。図16(a)は45°入射における光学スペクトルを示す。まず、図16(a)の黒矢印(1)で示したブローな反射ディップに注目する。図16(b)は波長589.75 nmにおける磁場のスナップショットである。磁場がAlグレーティングとAl薄膜のギャップ部分に集中しており、ギャップSPPsが励起されていることが分かる。図4(c)は図16(a)の黒矢印(2)で示した波長280.1 nmの反射ディップにおける磁場のスナップショットである。ギャップ部分に磁場が集中する特徴は図16(b)と類似しているが、節の数が異なっている。以上から、図16(b)と(c)におけるモーはそれぞれ1次及び2次のギャップSPPsであることが分かる。図16(d)及び(e)は波長352 nm及び329.65nmにおける磁場分布を示しており、それぞれ図16(a)の黒矢印(3)及び(4)で示される反射ディップと対応している。これらの図においても、Al2O3誘電体薄膜内に磁場が集中するギャップSPPsの特徴を持っている。さらに、磁場分布はAl薄膜/石英基板界面においても集中しており、これは伝搬型SPPsの特徴である。これら2つの特徴から、図16(d)及び(d)のモーはギャップSPPsと伝搬型SPPsのハイブリッモーであり、エネルギー準位に応じて分裂したモーとなっていることが分かる。これら2つの異なるギャッ250300350400450500550600650700750800Wavelength (nm)00.20.40.60.81ReflectanceTransmittanceAbsorptance(a)(b)(c)(d)(e)(1)(3)(4)(2)図16(a)入射角45°における光学スペクトル、波長(b) 598.75 nm、(c)281.05 nm、(d)352nm、(e)329.65 nmにおける磁場分布のスナップショット。カラーバーは磁場の強度を示す。954-2-2 深紫外偏光制御デバイスの研究開発

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