3.1磁気嵐に伴うGIC2018年5月5日に発生した磁気嵐時の観測データを図6に示す。上から順に、SFJ、STB、SFSのGIC測定データ、柿岡での地磁気変動(X成分とY成分)、電場変動(X成分とY成分)を示している。SFSとSTBでは、GICは逆の変化を示している。これは、SFSとSTBは対向する変電所であるため、電場の方向によりSFSからのGICがSTBの中性点を通して流れ出す、あるいはその逆の現象が起こっているためだと考えられる。SFSがSTBに比べて大きなGICの電流値を示しているが、これは同時に運用されている変圧器の数の違いやSFSが送電網の端点となっているので端点効果[23]によるためと考えられる。また、SFJのGICは柿岡の地磁気や電場の変動とあまり類似した変動をしていないが、これは地下の電気伝導度の影響や電力網の構成によるものと考えられる[24]。1分値の地磁気数値データが提供されている1956年以降に柿岡で観測された最大の磁気嵐は、1989年3月13-15日UTに発生したものである。この地磁気嵐の際にカナダのオタワでGICによる停電が発生した[6]。図7にこの磁気嵐時の柿岡の地磁気水平成分の変動とその時間変化率を示す。地磁気水平成分の変化の最大振幅は644nTで、その時間変化率は最大-51 nT/分であった。3.2惑星間衝撃波に伴うGIC図8に2017年7月16日5時59分UTに発生したSSCに伴う観測データを示す。図の上から順にSFJとSTBのGIC測定データ、柿岡での地磁気変動(X成分図6 2018年5月5日の磁気嵐に伴って観測されたSFJ、STB、SFSのGICと柿岡の地磁気及び電場変動図71989年3月13‐15日の磁気嵐に伴う柿岡の地磁気水平成分の変動とその時間変化率図8 2017年7月16日のSSCに伴うSFJとSTBのGICと柿岡の磁場及び電場変動132 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.1 (2021)3 磁気圏研究
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