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に太陽からの一定距離で平均化した磁場強度Baverageで規格化した動径方向の磁場成分Brを乗じて用いている。またbfは自由パラメータで後ほど触れる。太陽活動はおよそ11年周期で変化するが、ここでの太陽風シミュレーションの自動化ではこの活動度に応じて自由パラメータを定めることが必要であるが、このモデルの自由パラメータは加熱モデルのLQ、bfである。また太陽コロナの過熱と太陽活動度で変化する太陽磁場強度とのバランスを取る必要がある。例えば加熱に比べて磁場強度が弱い場合、加熱により磁場が閉じることができずに多くの磁力線が開き、観測データから乖離することになる。自由パラメータを最小限にするため、加熱モデルに含まれる強度等ではなく入力である観測磁場データの強度を調整する。すなわち太陽活動度に応じで磁場強度が変化するため、活動度が低く磁場強度が小さい場合は観測磁場データを例えば20倍し、活発になって磁場強度が増した場合は数倍にする、などの設定を行った。他に加熱モデルのスケールハイトLQ及び磁場強度によってタイムステップが変化するため、定常に達するまでのステップ数がパラメータになる(表1)。シミュレーション結果ここでは代表的なシミュレーション結果と運用中のWeb表示画面を紹介する。 図3~5は2017年7月14日から8月19日のGONGデータを用いた計算結果である。図3はこの期間にSDO(Solar Dynamics Observatory)衛星の紫外線及び極端紫外線望遠鏡AIA(Atmospheric Imaging Assembly)211により観測されたCH(上段)とそれに対応するシミュレーション結果(下段)であり、カラーマップは温度を表している。L1点での太陽風観測と対応付けるため、CHにはA、B、X、Cのラベル付けを行っている。ここでXのラベルを付けたCHは8月7日に中央子午線を通過しているが、8月7-9日の観測データが欠損していたため、代わりに8月10日のデータを用いている。四つのCHはおおよそシミュレーションで再現できていることが分かる。図4上段は図3下段のシミュレーション結果のCHから出ている磁力線と下段に同一の磁力線を地球軌道面の太陽風速度のカラーマップに描いている。この図から磁力線と高速風の領域がほぼ重なっていることが分かり、3入力磁場データ最大値[Gauss]m(倍数)LQ(スケールハイト)[太陽半径]bf(B/f加熱項係数)[%]計算ステップ数~45490.50240,000~50470.50240,000~70450.50240,000~80410.50240,000~90360.50240,000~95340.50240,000~100320.50240,000~115280.50240,000~120270.50240,000~130230.70.04240,000~140210.70.04240,000~150200.70.04240,000~170200.70.0425240,000~200170.70.0425240,000~300150.70.025240,000~400130.70.025240,000~500110.70.0125240,000~600 90.70.05240,000~700 80.70.05300,000~900 80.70.07360,000~1,000 70.70.05360,000~1,100 60.70.1480,000<1,100 50.70.05300,000表1 自動実行のためのパラメータ図4図3のシミュレーションのCHからの磁力線とそこから発したと考えられる太陽風速度のカラーコンター([7]からの引用)図3SDO 211Åで観測されたCHと対応するシミュレーション結果([7]からの引用)1454-2 高速太陽風予測のための数値シミュレーション

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