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まえがき太陽電波監視システムは、鹿児島県指宿市の山川電波観測施設内に建設された。本システムは、老朽化した平磯太陽観測施設の太陽電波観測システムHiRASの後継にあたり、平成28年10月より定常観測を実施している。風雨を防ぐレドーム内に8メートルのパラボラ反射鏡を有する電波望遠鏡が建てられており、別棟の伝搬実験室に設置の制御サーバ類によりコントロールされている。観測周波数帯域は70 MHzから9GHzであり、フレアに起因する太陽電波バーストが観測される周波数帯域をほぼ全てカバーでき、周波数分解能は、MHz帯で0.03125 MHz、GHz帯で1 MHz、時間分解能は観測する全帯域において8ミリ秒で連続観測を行っている。観測結果は、ほぼリアルタイムで図1に示すダイナミックスペクトルプロットとして公開され、宇宙天気予報業務などに利用されている。望遠鏡の諸元2.1概要8m電波望遠鏡は経緯台式反射望遠鏡(図2)で、雨風を防ぐよう山川電波観測施設敷地内のレドーム内に設置されている。また望遠鏡は、パラボラリフレクタによる主鏡・主焦点部にフィード及びフロントエンド・ヨーク部のポジショナ・望遠鏡を支えるライザーベースとその内部にバックエンド及び基準信号源、などで構成されている。主なシステム構成を図3に示す。望遠鏡で受けた信号は、フロントエンドにおいてフィルタ処理、バックエンドにおいて分光処理が行われ、データ収集サーバへ送られて所定のフォームに処理され、データ蓄積サーバへと送られた後、NASに保存される。望遠鏡やフロントエンド・バックエンドの信号処理は、アンテナ制御サーバによって制御される。監視カメラだけで12図1準リアルタイムで公開されているダイナミックスペクトルプロット例https://solarobs.nict.go.jp/太陽の外層大気であるコロナでは、フレアに代表される爆発現象や、コロナ質量放出と呼ばれるプラズマ雲の放出現象が発生する。その過程では、強い電波放射(太陽電波バースト)が発生する。粒子の伝搬速度よりも電波の伝搬速度は速いため、電波バーストの検出は宇宙天気災害の有効な予報手段となる。我々は、宇宙天気情報の一つとして太陽活動の監視とその検出に取り組んできた。本稿では、太陽の電波観測とデータの取扱いについて述べる。In the solar corona, an explosive phenomena such as a flare and a plasma cloud ejection called a coronal mass ejection occur. In the process, strong radio radiation, that is solar radio bursts, is generated. Since a propagation speed of radio wave is faster than that of particle, detection of solar radio bursts is an effective forecasting measure for space weather disasters. We have been moni-toring and detecting solar activity as one of the space weather information. This paper describes the observation of radio waves from the sun and the handling of its data.4-5 太陽電波監視システム4-5Solar Radio Monitoring System直井隆浩 久保勇樹 石橋弘光NAOI Takahiro, KUBO Yûki, and ISHIBASHI Hiromitsu1654 太陽・太陽風研究

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