なく時刻同期も含めた全体の統合をデータ蓄積サーバが行い、NICTネットワークへの窓口ともなり、電源制御等の遠隔操作も可能にしている。2.2望遠鏡主鏡と給電系反射鏡を構成するパネルは、炭素繊維強化プラスチック製で、鏡面精度は、0.7 mm(二乗平均平方根)以下である。利得は70 MHzで13.9 dBi、2.8 GHzで39.1 dBi、9.0 GHzで48.1 dBiとなっている。パラボラリフレクタの主焦点部設置の給電系(図4)は対数周期アンテナ(ログペリアンテナ)であり、70MHzから9 GHzにおいて並行する二偏波成分を独立に給電できる。本望遠鏡では、アンテナ設置位置を主焦点から少しずらし、ぼやかすことで、全周波数帯で太陽の視直径0.5度よりも広いビーム幅を実現しており、70 MHzで33.9度、2.8 GHzで2.2度、9.0 GHzで0.8度となっている。これにより、太陽全面でのフレアの発生を監視することができるようになっている。2.3望遠鏡駆動系アンテナは経緯台式のため、方位角(AZ)及び仰角(EL)制御となっている。方位角は、-270度から+270度の範囲での連続駆動が可能であり、一方、仰角は5度から90度の範囲での連続駆動及び天頂方向の格納位置への格納が可能である。ポジショニングの読取精度は0.005度以内、最大駆動速度は、方位角方向で3度/秒、仰角方向で1度/秒以上である。全自動で駆動しており、年間を通して、日の出直後から日没直前(仰角5度以上の時間帯)まで、停止することなく太陽を追尾する。2.4レドーム レドームは、耐風速性能が90 m/秒(瞬間最大風速)以上を満たす半卵形状をしたリジット型となっている(図5)。ドーム内は、三台の空調設備により空気循環がなされ、年間を通じて温度を一定に維持できるようになっている。レドームパネルは観測帯域の電波を透図5 山川電波観測施設内に建設されたレドーム図4 主焦点に取り付けられた給電系図3主なシステムの構成 太線は信号の流れを示しており、細線はネットワークによるつながりを示す。図2 レドーム内の8m電波望遠鏡全体166 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.1 (2021)4 太陽・太陽風研究
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