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6.2II型電波バーストの自動検出手法II型電波バーストはVHF帯で何分間か継続して観測される。時間と共に周波数が低くなる動的スペクトルを有し、周波数の逆数1/f ∝時間tの関係がある(Kellogg1980: ここでfはプラズマ周波数fpに等しいと仮定)。この関係式に着目し、(i) 分光観測の画像を処理して縦軸1/fに変換、(ii) Hough変換により直線検出、という2段階の処理でバーストの検出を試みた(Lobzin et al. 2010)。画像処理のプログラム言語にはPythonとOpenCVを用いた。本稿ではひとつの例として、山川太陽電波観測システムで取得された2015年11月4日3~4時(UTC)の観測データへ適用した結果を示す(図15)。手順は以下の①から⑨となる。①グレースケール化:OpenCVを利用して処理するため、データをグレースケール(単色8bit)化する。②ヒストグラム平坦化:光源を統一して、暗いイメージや明るいイメージを均一な明るさの環境でのイメージに作り直す処理。暗く隠れた模様や、明るすぎて飽和した画像を、シャープに見せる処理。③縦軸f→1/f変換:II型バーストは、周波数の逆数1/f∝時間tの関係があるため、縦軸を1/fと変換することで、直線になる。④ぼかし(平滑化・スムージング):時間軸方向に移動平均をとることにより、スムージングする。⑤しきい値処理(ノイズ除去):ピクセルのスケールがある値(しきい値)以下をノイズとみなして取り除く。⑥強い信号(水平線)の除去:フィルタでは十分に取り除けない特定周波数の強い信号を除去する。⑦ローカルピークと2値化:電波バーストは数分で信号が強まり弱まる。時間軸に沿ってピクセル値が単調増加から単調減少に代わるところをローカルなピークとして255を代入し、それ以外を0として2値化する。⑧モルフォロジー処理:図14 遠隔制御用ウェブインターフェース1714-5 太陽電波監視システム

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