いたため、地磁気じょう乱に伴う電離圏のシンチレーションが人工衛星との通信障害を発生させることがあった。そのため、太陽プロトン現象や地磁気じょう乱を引き起こす可能性のある太陽フレアの発生報告、地磁気じょう乱の予報及び発生報告を含む「太陽地球環境予報」を提供することが決定された[5]。当時の業務内容では、1週間交代で1人の研究者が予報官となって予報内容を作成したうえで、研究者全員による予報会議で最終的に発令内容が決定された[7]。1987年から、日本最初の気象衛星「ひまわり」の高エネルギー粒子(プロトン・アルファ粒子・電子)の計測データがファクシミリで日々平磯電波観測所に通知されるようになった。さらに同年、太陽フレアと地磁気じょう乱の発生の履歴を一目で確認する手段として、太陽の自転ごとに太陽活動領域の成長、減衰、太陽フレアの発生状況をまとめたチャート(Solar Activity Chart*1図4)の作成が開始された。このSolar Activity Chartは計算機処理により現在でも継続されている[5]。1986年4月、12時間先までの電波伝搬状態を予報する短期電波じょう乱予報と、これまではがきにて通知していた週間電波じょう乱予報をまとめ、さらに予報の根拠となる太陽活動と地磁気活動の概況を合わせて図3 1982年2月7日に平磯電波観測所で観測された白色光による太陽黒点スケッチ図[8]図4 太陽活動域チャート(Solar Activity Chart)史上1、2を争う1989年3月の地磁気じょう乱に関する記録*1https://wdc.nict.go.jp/hsv/にて公開中[9]1795-1 宇宙天気予報業務
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