(Persistence)とした場合、27日前の結果=本日の予報(Recurrence)とした場合の、評価指標(上図)とNICT予報とPersistence、Recurrenceそれぞれの評価指標の差(下図)が95%信頼区間とともに書かれている。信頼区間は、ブートストラップBCa法[8]により計算されている。結果の詳細な議論は[6]を見ていただきたいが、図中のFBを見るとわかるように、NICT予報は概ねFB~1であり、過大予報にも過小予報にもなっていないことがわかる。特筆すべきことは、下図の赤い棒グラフを見るとわかるように、多くの評価指標において、NICT予報はPersistenceよりも95%の信頼度をもって有意に高いスコアを記録していることであり、Recurrence(青い棒グラフ)に対しては言うに及ばずである。すなわち、NICT予報は、PersistenceやRecurrenceに対して、良い予報精度を持っているということを示している。Xクラスフレアについても同様の解析を行っている(図2)。Xクラスフレアについても、NICT予報はRecurrenceに対しては有意に良い精度を示しているものの、Persistenceに対しては、95%の信頼度をもって有意に良い精度であるとは言えなかった。これは、Xクラスフレアはまれな現象であることからサンプル数が少なく、95%信頼区間が大きいため有意な結論を示すことができないということであり、NICT予報がPersistenceと同じ精度であると結論しているわけではないことに注意してほしい。しかしながら、Xクラスフレアに対しては、NICT予報は有意に過小予報であることが示されており、これは、Xクラスが起こるであろうという予報は、かなり確からしく判断できる場合にしか発令していないと結論できる。太陽活動は約11年の周期で極大、極小を繰り返していることはよく知られたことであり、予報の精度も太陽活動に依存して変化することが容易に推測される。2000~2015年の16年間を太陽活動度に応じて4つの期間に分けて、NICT予報の精度を評価することも行っている。この結果については、紙面の都合上本稿では割愛するが、[6]で詳細に述べているので参考にしてほしい。3.2 確率予報評価前述のように、現在のNICT太陽フレア予報は、いわゆる0か1かの決定論的予報であるが、自然現象の発生とは本質的に不確実性を伴うものであり、これを決定論的に予報するというのは不確実性を無視した予報ということであり、考え方によっては適切な予報とは言えない。むしろ、自然現象の発生に伴う不確実性を考慮した確率予報のほうが、より合理的な予報であると考えられる。NICTの予報も、今後確率予報に移行していくことが検討されており、AIを用いた太陽フレア確率予測モデル(DeFN-R)が開発されている[9]。本小節では、このAI太陽フレア予報モデルの結果を用いて、確率予報評価技術について述べる。確率予報を評価する際に、ある一つのしきい値確率(例えば0.5など)を設定して、現象の発生確率がそれ-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1FBPCPOD1-FARETS1-POFDCSIHSSPSSORSSSEDIGMGSScoreVerification MeasureForecastPersistenceRecurrence-0.1 0 0.1 0.2 0.3FBPCPOD1-FARETS1-POFDCSIHSSPSSORSSSEDIGMGSDifference in ScoreVerification MeasureForecast-PersistenceForecast-Recurrence図1 Mクラス以上のフレアに対する評価指標-0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1FBPCPOD1-FARETS1-POFDCSIHSSPSSORSSSEDIGMGSScoreVerification MeasureForecastPersistenceRecurrence-0.1 0 0.1 0.2 0.3FBPCPOD1-FARETS1-POFDCSIHSSPSSORSSSEDIGMGSDifference in ScoreVerification MeasureForecast-PersistenceForecast-Recurrence図2 Xクラスフレアに対する評価指標1915-2 宇宙天気予報評価技術
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