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(毎年4月頃に開催)がおかれ、宇宙活動に関する諸問題に対し、それぞれ技術的側面及び法的側面からの検討等を行っている。2020年3月時点、日本を含む95か国が加盟している。2010年から「宇宙活動の長期持続可能性」(LTS)という議題の下、宇宙活動を長期的に持続可能な利用のために自主的に遵守すべき「ガイドライン」の制定を目指し、ワーキンググループが設置された。ワーキンググループは、21のガイドラインについて一致したが、7のガイドラインについては一致せず、2018年6月に、ワーキンググループが終了した。ワーキンググループ終了後、我が国が主導する形で有志国と連携して21のLTSガイドライン実施をCOPUOS加盟国に働きかけてきた。2019年のCOPUOS本委員会初日(6月12日)に、日米カナダ・フランスの4か国が21のLTSガイドライン実施に関するワーキンググループを科学技術小委員会の下に設置するとの共同提案を行った。本委員会会期中に加盟国間の議論を経て、6月21日、COPUOS本委員会として21のLTSガイドラインを正式に採択するとともに、科学技術小委員会の下にこれらガイドラインの実施及び新たなガイドラインの可能性等を議論するワーキンググループが設置されることが決定された。21のLTSガイドラインのうち、B.7として「宇宙天気モデル及びツールの開発並びに宇宙天気による影響の低減のための確立した実行の収集」が制定され、専門家会合によりこの活動が行われている。2020年には加盟各国及び国際機関に対して現状の調査を進めた。また、前述のITU-R[14]においては現在、SG3(電波伝搬)及びSG7(科学利用)で宇宙天気に関連した標準化の議論が行われている。SG3では日本は現在、長基線における長波の電界強度モデルの提案やGNSS(Global Navigation Satellite System)に関するフォーマットの提案を行っている。しかしながら近年は携帯電話などの電波伝搬の標準化が主流であり、宇宙天気関連の提案は少なくなっているのが現状である。一方SG7では宇宙天気監視のための観測に必要な周波数の保護に関する議論が活発になっている。その他の国際組織の活動また、国連とは別の組織として、先述したように1962年から開始したIUWDSの活動を引き継ぐ形で1996年より国連国際科学会議(International Council for Science Union: ICSU)の下で国際宇宙環境サービスISES[15]が活動している。これは定常的に宇宙天気情報を発信している機関の連合体であり、2020年1月現在20か国及びESAが加盟している。また、気象衛星のコンソーシアムである気象衛星調整会議(Coordination Group for Meteorological Satel-lite: CGMS)でも、人工衛星による宇宙天気観測やデータ利活用等に関する議論が行われている。CGMSは気象予報等に欠かせない気象衛星観測システムの世界的な調整を行うグループである。WMO等が策定した要件に応じて、気象観測・予測及び気候監視業務を支援する目的で1972年に設立され、毎年会議を開催しており、そこでは以下の4つのWorking Group (WG)が設置されている。- WGI : Satellite Systems and Operation(衛星システムと運用)- WGII : Satellite Data and Products(衛星データとプロダクト)- WGIII : Operational Continuity and Contingency Planning(運用の継続性と緊急時対応計画)- WGIV : Data Access and End User Support(データアクセスとエンドユーザーサポート)当初は宇宙からの気象・気候監視のみを取り扱っていたが、WMOが2009年から宇宙天気観測への関与を深めていくのに呼応して、2012年のCGMS-40でad-hocな組織として宇宙天気タスクチーム(Space Weather Task Team : SWTT)の設置が勧告され、2013年のCGMS-41からSWTTの下で、CGMSにおける宇宙天気観測が議論されるようになった。さらに、2018年のCGMS-47において、これまでの活動成果を踏まえて、宇宙天気調整グループ(Space Weather Coordination Group : SWCG)として常設の組織が設置された。SWCGでは各機関の宇宙天気計測の現状や将来計画、宇宙天気予報を含むデータ利活用に関する報告や、長期的な宇宙天気観測のギャップ分析とその対応、高エネルギー粒子計測器の相互校正手法の検討や標準化、宇宙天気に起因する衛星障害情報のデータベース化な4図2宇宙平和利用委員会(UN/COPUOS)科学技術小委員会の模様(オーストリア・ウィーン)1995-3 宇宙天気の国際動向

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