測所で観測された地磁気の活動度を示す。一番下は、理化学研究所で計測された銀河宇宙線の強度のグラフになっている。黒点群が日を追うごとに太陽の自転とともに経度が西から東に移動するために、太陽の段には斜めの軌道が見えている。大きな活動領域の周りで大きなフレアが発生している様子を見ることができ、一部の太陽フレアに伴い、直後に電離圏じょう乱が発生、数日後に地磁気じょう乱と電離圏じょう乱が発生、また地球周辺をCMEが通過する時に銀河宇宙線の強度が著しく低下する現象Forbush decreaseの発生も確認できる。これらのスキャンデータの閲覧用ウェブページ(Historical Spaceweather Viewer: https://wdc.nict.go.jp/hsv/)を作成し、一般に公開を始めた。次にURSIgram codeのマニュアル等の資料(図4b)のデジタル化に着手した。マニュアルについては、URSIgram codeが策定された1963年以降改訂が複数回行われ、そのたびに新しいものが発行され保管されていた。ソフトカバーのマニュアルの状態の劣化が進んでおり、今後のデコードの作業中の参照が容易になるように、すべてのマニュアルの電子化を行い、Historical Spaceweather Viewerのページにて公開している。Telex用紙で保存されている観測データのコード(図4a)のデジタル化については、紙資料の分量が膨大であるため、特筆すべき巨大な太陽嵐が発生した1972年前後、1982年前後、1989年3月という限定した期間のデータを対象とした。このデジタル化した画像データは、OCRで自動読み取りではエラーが頻発するため、目視によるコードの読み取りを行った。読み取ったURSIgram codeを観測情報にデコードしたデータベースを作成した。さらに、そのデータを基にSolar activity chartを手書きにて試作した(図4c)。今図3 カナダケベック州大停電を引き起こした太陽嵐現象を含む1989年3月のSolar activity chart図4 保存されていたTelex(a)、URSIgram code book(b)、 再現したsolar activity chart(c)。2055-4 過去の宇宙天気資料電子化プロジェクト
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