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ア域電離圏観測網(SouthEast Asia Low-latitude IOno-spheric Network: SEALION)を構築してきた[2]。SEALIONは、東経 100°の子午線及び磁気赤道に近い観測点に設置された主要観測機器であるFM-CW(fre-quency modulated continuous wave)型イオノゾンデ及びGPS/GNSS受信機、磁力計、大気光カメラなど様々な観測機器で構成される。SEALIONプロジェクトの開始以降、運用の自動化・省力化、観測サイトの耐雷対策、老朽化した観測機器の整理・更新等を進めつつ、より高精度なプラズマ・バブルの観測のため、2020年1月タイ・チュンポンにプラズマ・バブル観測用VHFレーダーを設置するなど観測網の強化を進めてきた。また、東南アジア諸国の宇宙天気に対するニーズや関心が高まっていることを受け、2021年4月タイのラジャマンガラ工科大学イサン(RMUTI)及びラオスのラオス国立大学(NUOL)など、新たな協力機関が参加して観測網の拡大が進められつつある。SEALION観測サイトで得られたデータは、リアルタイムでNICTへ転送され、プラズマ・バブルを含めた東南アジア域の電離圏状況を把握するために利用されている。これまでSEALIONプロジェクトとして観測を実施してきた観測サイト及び観測機器を図1、表1及び表2にまとめる。これらのデータは、過去のものも含めて、SEALIONウェブサイト(https://aer-nc-web.nict.go.jp/sealion/)にて利用可能である。2.2最近の研究成果ここでは、SEALIONを利用した赤道域電離圏及びプラズマ・バブルに関する最近の研究成果のうち、赤道異常、プラズマ・バブル、AIによる電離圏変動予測に関するものを紹介する。2.2.1赤道異常昼間側の電離圏においては、中性大気の風と磁場の作用により生じた東向き電場により、磁気赤道付近の電離圏プラズマは上向きのE×Bドリフトにより上昇表2 SEALION各観測サイトにおける観測機器(2021年7月現在)ID観測機器VHFレーダーFMCWイオノゾンデGPS/GNSS受信機磁力計大気光イメージャーTEC観測TEC・シンチレーション観測シンチレーション観測CMU2004-2006-2010- 2013*RUTI2018-KMI*2002-2019*KMIT2017-CPN2020-2003-2004-2019-KTB2004-NUOL*2019-2020*NUO22020-BCL2004-2014-CEB2000-2013-PKT*2013-2021*2006- 2021*PTC*2006-2011*PHT*2005- 2011*2007-2010*HAN*2007-2009**観測終了図1 SEALION観測サイト及び観測機器192-2 東南アジア域における電離圏観測: SEALIONプロジェクトの現状と今後の展望

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