イベントについて、その発生要因について考察した。夜明け前に観測されたプラズマ・バブルのシーディングの位置は、同一クラスター内のプラズマ・バブルのプラズマ密度勾配と到達高度に関与している可能性が指摘され、消失メカニズム解明にもつながる成果が得られた。また、通常は発達することがない時期におけるプラズマ・バブルの発達にプラネタリー波が寄与している可能性や、磁気赤道付近の下層大気からの強い大気重力波が電離圏の日没前にもプラズマ・バブルのシーディングにつながった可能性など、プラズマ・バブルの発生に下層大気の活動が大きく影響していることが示唆された。基本的なプラズマ・バブルの発生メカニズムに加え、これまでプラズマ・バブルは発生しにくいと考えられていた季節や時間帯に発生するプラ図9IRI-2016モデル(赤線)、実際の観測(黒線)及び提案したNNによるRSF予測モデル(緑線)により得られたチュンポンの2016年各月におけるRSF発生率の比較[21]。252-2 東南アジア域における電離圏観測: SEALIONプロジェクトの現状と今後の展望
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