発散条件を満たすように決定される。したがって、地球規模のダイナモ電場とプラズマバブルの成長に寄与する微細なスケールの電場は、同時に決定されるべきである。そこで、プラズマバブルが主に発生する日没時刻付近をHIRBモデルと同程度の高解像度、その両側の経度域に徐々にグリッド間隔を広げた不等間隔グリッド領域を設け、その他の領域をGAIAモデルと同程度の低解像度とする座標系を設定する。この座標系において、経験モデルから得られた電子密度分布、中性風速分布を与え、同時にプラズマバブルの種となる初期密度変動を与えることで、全球規模のダイナモ電場と小規模のプラズマバブルを同時に再現することが可能となった[18]。この不等間隔グリッドモデルをGAIAモデルに導入することで、日々変化する電離圏の様々な条件の下でのプラズマバブルの発生の有無について検討することが可能となることが期待される。4.2中緯度帯に及ぼす影響強い磁気嵐が発生した時など、日没時に東向き電場が急速に発達すると、非常に高高度にまで発達するプラズマバブルが発生することがある。プラズマバブルの低密度構造は磁力線に沿った構造を持つため、磁気赤道上空で高度2,000kmに達するようなプラズマバブルは、沖縄や九州地方上空の中緯度域にまで到達することがある[19]。このような場合、日本付近を航行する航空機や船舶が利用する測位衛星や短波通信に影響を及ぼすため、中緯度域にまで到達するプラズマバブルを再現可能なシミュレーションモデルが必要である。 従来のHIRBモデルでは、磁気赤道上空における計算領域の上端を高度約1,200 kmに設定していた。この高度を通る地球磁場は磁気緯度約20度付近の電離圏と結合しているため、中緯度域にまで到達するプラズマバブルを再現することはできなかった。そこで、計算領域の上端を2,500 kmまで引き上げ、電離圏上部における主要なイオン組成である水素イオンをシミュレーションモデルに追加することで、急速に高高度ま図5 階層化電離圏モデルのイメージ図図6(a)南北-鉛直断面におけるプラズマバブルの電子密度分布(b)高度400 kmの水平面におけるプラズマバブルの電子密度分布(a)(b)432-4 電離圏局所シミュレーション
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