99.9999999%)の安全性が求められる。一方で、精度については、カテゴリーIと呼ばれる高度60 mまでの精密進入誘導を実現するものであっても、垂直方向の誤差は95%値で4 mまで許される[2]。放送されるGNSS衛星信号の単独利用では、この極めて高い安全性を実現することができないので、補強システム(Augmentation System)と呼ばれる、安全性を補強するシステムが必要となる。補強システムにはいくつか種類があり、着陸進入誘導を可能とするものには地上型衛星航法補強装置(Ground-Based Aug-mentation System: GBAS)、衛星型衛星航法補強装置(Satellite-Based Augmentation System: SBAS)がある(図1)。補強システムは、補正によって精度を改善するだけでなく、GNSSユーザーにとって安全上の脅威となり得る誤差(Hazardous Misleading Information: HMI)を生じないように、GNSS信号の監視を行い、補正しきれない誤差要因については除去する機能を持つ(図2)。これをインテグリティモニタという。これらの補強システムにおいても、それぞれ詳細な技術基準が定められている[5]–[8]。現状利用可能なGBAS及びSBASはいずれも1周波コード擬似距離を用いたディファレンシャル測位の一種であるため、電離圏の空間変動に伴う補正誤差が、測位誤差の最も大きな要因である。ディファレンシャル測位においては、位置が既知の基準GNSS受信局の測定値を用い、電離圏遅延を含む誤差補正値を生成する。しかし、電離圏遅延が空間的に変動する場合、基準局を用いて生成した電離圏遅延推定値は、航空機上の受信機の電離圏遅延とは必ずしも一致せず、その差が補正誤差となり、測位誤差として現れる。GBAS、SBAS等の補強システムでは、測位誤差が航空機の安全を脅かすものにならないように、航空機が測位誤差の保守的な限界値(保護レベル、Protection Level: PL)を求められるようになっている。保護レベルが飛行フェーズによって決まる許容値 (警報限界、Alert Limit: AL)を超える場合、その補強システムを用いたGNSSによる運行はできない。1-10-7〜1-10-9の安全性のためには、標準偏差σ の正規分布を仮定した場合、5.4〜6.1σ の幅を取ることが必要となる。保護レベルは、GNSS測距の潜在誤差の測位誤差へのS行列による投影として決まるので、潜在誤差の見積値と、衛星配置によって決まる。そのため、補強システ図1 SBAS(左)及びGBAS(右)の模式図HPLHPL(水平保護レベル)実はHMI検出できない可能性補正可能な要因は補正補正による精度改善補正できない要因は除去補正できない要因は除去補正可能な要因は補正HPLHPL(水平保護レベル)実はHMI検出できない可能性補正可能な要因は補正補正による精度改善補正できない要因は除去補正できない要因は除去補正可能な要因は補正図2 補強システムの動作概念[9]692-7 衛星航法を用いた航空航法における電離圏変動の影響と宇宙天気情報の利用
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