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量化⑥海外輸送など安定した後方支援を担保する観測装置の耐衝撃性・耐振動性の向上以上のようにSoC導入の机上検討を重ねた結果、我々は、新たなプラットホームとしてXilinx社製Soc ZYNQ-7000シリーズ ZC-706を採用し、次期可搬型FMCW イオノゾンデシステムの開発に着手した。3.1ハードウェア 次期可搬型システムのハードウェア構成は、①制御部、②LPF Bank、③広帯域パワーアンプに大別される。3.1.1制御部図1のとおり、Zynq-7000シリーズは、PSブロックにArm Cortex-A9 MPCore CPUを中核として、 オンチップメモリー・外部メモリーインターフェイス・豊富なI/Oペリフェラルを備えている。Zynq-7000 SoC ZC706は、このチップを搭載した組込みシステム用開発キットであり、機能拡張やカスタマイズ可能な業界標準のFPGA Mezzanine Card(FMC ANSI/VITA 57.1)を備えるなど、次期可搬型開発のプラットホームとして十分な仕様を有している[2]。図2に次期可搬型FMCW イオノゾンデ制御部のブロック図、図3に同回路構成図を示す。開発方針は、以下の三つに集約される。・FMCを用いたRF部、送信部、受信部のモジュール化・現行可搬型の周辺機器(PreSelector, OBS Selectorなど)のオンボード集約化・現行可搬型とのハードウェア上位互換①周辺機器(LPF Bank・広帯域アンプ(後述))と物理・論理両面でのインターフェイス互換②現行可搬型主幹機能の基板実装SEALION運用開始当初から、イオノグラムデータの質の向上や安定運用のために故障修理やメンテナンス作業に加えて、必要に応じて周辺装置追加や搭載部品の換装が行われてきた。そこから得られた知見は、基板搭載部品の選定や周辺機器のオンボード化による点数削減などの形で次期可搬型の設計に落とし込まれている。以下の節で、構成要素ごとに設計要点を簡潔に述べる。3.1.1.1信号処理系受信アンテナ(Rx Ant.)から入力された受信信号及びFMCWレーダー[3]の基準信号となる自分自身の送信波は、リミッタ切替部によって信号を選択されると同時に過大入力とならないよう制御され、増幅フィルタ部に入り、後に続くAD変換に必要なレベルまで増幅される。このアナログ信号は125MSpsのサンプリングレートのAD変換回路によって16bitのデジタルデータに変換される。このデータは、ZYNQへ渡され、復調したい周波数の正弦波(sin)とその90°位相の異なSSIINNCCOOSS送信制御DAC基準信号生成CIC/FIRCIC/FIR数値発振NCO疑似乱数生成/変調Dual Port RAM基準信号制御送受信処理データ転送処理ADC増 幅リミッタ/切替可変減衰信信号号処処理理系系GPSPPSS増 幅・HPA・LPFEthernetPPLLPPLLRF系からTx Ant.送送信信系系GPS Ant.受受信信系系GGPPSS受受信信系系図3 次期可搬型イオノゾンデ制御部 回路構成図図1 ZYNQ-7000シリーズ 機能ブロック図Xilinx社ZYNQ-7000紹介記事より引用 (https://japan.xilinx.com/products/silicon-devices/soc/zynq-7000.html)Xlinx ZYNQ-7000シリーズ Z-7030OS : Ubuntu制御プログラム : SKmanagerSD cardブートディスクUSB メモリデータ格納LANFMCポート #1FMCポート #2Rx #1Rx #2Tx信号処理系BNCN型N型LPF Bank I/ODsub 15pinPA I/ODsub 9pinBNCGPS Ant.BNCBNCT/R切替PPS受信系受信波A/DT/R切替送信系送信波D/ALPF Bank I/OPA I/OGPS受信系UARTタイプPPS時刻情報AC/DCAdapter +5V+12V RF系Preselector + Obs selector + LNA図2 次期可搬型FMCWイオノゾンデ制御部 ブロック図772-8 Programmable SoCを用いたFMCW イオノゾンデの開発

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