免許番号:関第1982号)を受けて、次期可搬型の調整のために実施したものである。雷害対策SEALIONの観測サイトは、いずれも現地の協力研究機関の一角を間借りして運用している。雷サージの主な侵入経路となる電源環境、接地環境やネットワークインフラは、観測サイトごとに様々である。また、SEALIONを展開する熱帯域では、電力網への落雷による停電や瞬停も頻発している。我々は、観測サイトごとに調査を行い、その結果をもとに雷害対策を立案して実行している。具体的には、耐雷トランス・SPD(Surge Protective Device)・接地系・無停電電源装置(UPS: Uninterruptible Power Supply)等を適所に配置して雷害から観測システムを包括的に保護する「雷保護協調」の手法に基づいている。対策の骨子は以下のとおり(図10)。①接地分離コンセプトに基づく観測システムの保護②外部から絶縁・隔離された観測システム専用接地系の導入③接地分離コンセプトに基づき設計された耐雷トランスの導入④SPD (Surge Protection Device)の適所導入⑤防雷システム(PDCE: Para-ryos Desionnizador Carge Electrostatica)の導入⑥UPSの整備(停電・瞬停・瞬停対策)むすびここまで、喫緊の課題である現行可搬型換装を念頭に次期可搬型の開発状況を述べてきた。ここで、ソフトウェア無線(SDR: Software Defined Radio)技術の面に視点を転じてみる[6]。SDR技術の要諦は、アナログ高周波部に対してデジタル信号処理部の比率を高めて、ソフトウェアによるシステム機能変更を実現することにある。その鍵となるのは、ソフトウェアでシステム機能変更可能なこと(Reconfigurability)と機器外部からソフトウェアをダウンロードしてプログラム書換えが可能なこと(Downloadability)の二つの機能である。3.2で述べたとおり、Zynq-7000 SoC ZC706採用によって、次期可搬型はこの二つの機能を獲得している(図11)。今後は、ソフトウェア無線機としてのポテンシャルを生かして、周辺機器などのハードウェアはそのままにコンフィグレーション変更だけでFMCW方式/パルス方式の切替可能な新しいタイプのイオノゾンデの開発が期待される。また、観測プログラムやOSのアップデートとFPGAのコンフィグレーションアップデートを一括して実行することも可能である。これは、プリンタなどの電子機器のファームウェア更新と類似の処理である。次期可搬型の導入で、SEALIONで課題となっているネットワーク越しのリモート運用の改善につながることも期待できる。56Broadband Routerethernet接地分離型耐雷トランスIonosondeIonosonde Control PC RF Power AMPGPS Receiver Control PCSPDSPDSPDUPSPDCE GPS AntennaGPS Receiverセーフティ ゾーン電力線雷保護協調( )概念図凡例電力系統接地系統イオノゾンデ信号系LAN系統GPS信号系統internetSPD屋内・等電位ボンディングイオノゾンデ送信系イオノゾンデ受信系イオノゾンデアンテナアンテナ鉄塔接地系一次側接地系観測システム(二次側)接地系観測システム専用接地系接地分離用耐雷トランス電源用SPDPDCE図10 雷保護協調概念図812-8 Programmable SoCを用いたFMCW イオノゾンデの開発
元のページ ../index.html#87