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開発し昭和基地に配備した。本装置は国内や東南アジア等で実績を積んできた低電力(100 W)なFMCW方式を採用した。FMCW電離圏観測装置の開発は平成20年度より2台の装置を第51次隊により昭和基地に設置し、テスト観測を開始した。その後、動作検証と旧10C型電離圏観測装置との比較検証を行い、2016年1月より、旧10C型に代わりFMCW電離圏観測装置を主観測装置として運用を開始した。また、図6、図7に示すように専門的知識や経験を有していなくとも故障対応ができるよう、システムの冗長化とモジュール化の機能をつけて、信頼性の高い装置が開発された。3.1.3データ解析及び公開電離圏垂直観測データは、衛星回線を通じて準リアルタイムに昭和基地からNICTまで転送され、データSYOWA STATION(1959-present)MAWSON(1958-86,1993-present)DAVIS(1985-88,1994-present)MIRNY(1957-70)CASEY(1969-74,1993-present)SCOT BASE(1957-66)SANAE BASE(1962-79)BAUDOUIN(1958-66)SOUTH POLE(1957-66)VOSTOK(1958-78)BIRD STATION(1957-67)HALLEY BAY(1967-81)DECEPCION(1957-63)PORT LOCKROY(1957-61)PORT STANLEY(1957-89)EIGHTS(1965)LITTLE AMERICA(1957-58)HALLETT STATION(1956-57)TERRE ADELIE(1957-82)BELGRANO(1969-79)図5南極における電離圏垂直観測 昭和基地は1959年以来観測を継続的に行っている。オーストラリアのMAWSON、DAVIS、CASEYの3局は途中で運用を停止したが近年再開をしている。図7 電離圏観測装置 システムA、Bの一方が故障した場合、もう一方に容易に切替えが可能である冗長性と、故障をしているユニットを予備品と交換することにより専門的知識が無くとも修理が可能とするモジュール化した予備部品を持つ。図6左はFMCW電離圏観測装置 2台で冗長化している。右は鉛直上向きに電波を送信し反射された電波を受信する送受信用デルタアンテナ。冗長化のため2基使用している。電離圏点点線線はは磁磁場場にによよるる複複屈屈折折効効果果↑↑FF層層臨臨界界周周波波数数((ffooFF22))図4電離圏垂直観測の原理 地上から電波を発射し、電離圏からの反射を観測することにより電離圏の鉛直構造を得る。86   情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.1 (2021)2 電離圏研究

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