ることのあるCME (coronal mass ejection)等)が発生すると、太陽風が一層強まり、強烈な太陽風が 地球に吹き付け、磁気圏を大きく揺るがす。このような現象が発生すると、地球の極域には磁気圏から太陽のエネルギーが流れ込みオーロラが発生する。オーロラは高エネルギー電子(KeV)が大気中の酸素や窒素原子を励起して色とりどりに発光する現象であり、このような大気発光現象は電離圏における宇宙天気現象と密接な関係があるため、FMCW及び衛星電波シンチレーション観測データの解釈に不可欠と言える。昭和基地においては、2基の光学観測装置が定常観測を行っている。一つは高感度ネットワークカメラHNC (High-sensitive Network Camera)、もう一つは光学フィルタを搭載した三色全天撮像イメージャSTWI (Syowa Three-color Whole-sky Imager)である。3.3.1高感度ネットワークカメラHNC高感度ネットワークカメラ(HNC)とは、一眼レフデジタルカメラをPCで制御して無人自動観測するシステムである(図23)。オーロラや夜光雲の出現監視に使用することを想定し、平成23年(第53次隊)の夏期間に電離圏観測小屋の近くに設置され、定常運用を実施している。昼と夜で撮影モードを変えながら連続観測ができるように設計されている。屋外に設置されたハウジングにはドーム窓が設けられており、内部にはカメラ本体と、結露を防止するためのファン及びヒータ、ヒータを制御するサーモスタットが備えられている。撮影データはUSBケーブルを伝って観測小屋内の制御PCへ送られる。カメラは主にニコン社製のD610を用いており、魚眼レンズを利用した広視野撮影を行っている。自動運用ソフトウェアはWindows PC上で動作している。USBケーブルで接続されたカメラを制御し、スケジュールファイルによって、撮影時間や撮影間隔を設定できるほか、撮影モード・露出時間・絞り・露図24 HNCによるオーロラの観測例図23 HNCハウジング設置状況図25 STWI設置状況図22IGUが推定した精密軌道を利用した精密測位の結果 測位精度が20分の1にまで向上している。92 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.1 (2021)2 電離圏研究
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