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なお、我々はこのようなミリ波IoTを活用したモビリティ間のすれ違い通信を実現する際の、モビリティの制御方針として「ストップ or スローダウン & ゴー」と「キャッチアップ&ランデブー」というユニークな方針を打ち出している。1で記載したとおり、自律型モビリティについてはマニュアル運転とは異なる、環境性検出とも連携した、きめの細かい移動制御がより容易になるであろうと推察される。が、「ストップ or スローダウン & ゴー」については、収集・配信しようとするデータの容量や、ミリ波IoTによって通信可能な範囲に関わる情報等に基づき、モビリティ間ですれ違い通信が可能となる時間を調整する(長時間化する)ために、必要に応じて速度を落としてすれ違う、もしくは最適な位置関係で一時停止することは有効と考えられる。さらに「ストップ or スローダウン & ゴー」の考え方を発展させたモビリティ制御方針が「キャッチアップ&ランデブー」である。これはミリ波IoTを用いてすれ違い通信を行おうとするモビリティ間の立場関係が同等ではなく、例えば片側が目下何がしかの業務で稼働中のモビリティ(働くモビリティ)であり、他方がこれに対して情報の収集や提供といったサービスを提供しようとするモビリティ(支援モビリティ)である場合に特に有効と思われる制御方針である。このような場合、明確な業務目的を持って稼働中である働くモビリティに停止や速度低下といった制御を強いることは受け入れられない可能性が高く、このようなモビリティに対して、支援モビリティはサービスの提供相手となる働くモビリティの稼働を止めたり妨害することなく、大容量の情報を収集してあげたり、配信してあげる必要がある。そこで、まずはサービスを提供する相手をまず発見し、捕捉(キャッチアップ)した上で、追尾しながら近接を維持したまま移動(ランデブー)することで、実質的に双方が停止して通信する場合と同等の効果を得ることができる。述べるまでもなく、キャッチアップ&ランデブーに基づいたモビリティ制御には、発見〜捕捉〜追尾しながらのミリ波IoT通信の継続といった高度で挑戦的な技術課題を総合的な視点で解決するための研究開発を必要とする。②近接機会を創出する技術既に述べたようにPiggy-back Networkにおいてデータキャリアとして活躍するモビリティとしては、既に何がしかの業務やサービスに従事しているモビリティをまず主役と考えており、これら異業種かつ多様なモビリティが本来業務や本来サービスを行ううえで、“ついで”や“ながら”で提供できる空きリソースを上手く活用することを本質とする提案である。このような、いわばシェアリングエコノミーと同様のリソース共有の仕組みを上手く促進するためには、共有・提供可能なリソースの発見・抽出技術と、そのリソースを有効活用できるニーズ(Piggy-back Networkの場合はデータ転送ニーズ)とのマッチング技術が欠かせない。我々は過去に、タクシー会社の協力を得て営業中タクシー65台の移動データを使い、深層学習に基づくモビリティ予測技術の開発と有効性も検証してきた。例えばクラウド側で運ぶべきデータの発生拠点の検出と同時に、そのデータが転送されるべき先(宛て先拠点)、ないしは転送に有効な中継先を検出したうえで、この2つの拠点間の経路を今後移動するモビリティを予測することができれば、該当するモビリティにデータ転送を促すことが可能となる。図4はクラウド・エッジとの連携処理で、モビリティに迂回や特定拠点への立寄りを依頼する様子の模式図であるが、実際にモビリティが該当データの転送に貢献するためには、データを収集ないしは配信するために、僅かながらの遠回りや迂回、そして一時停止を強いられることもあり得るであろう。しかし、目下のUberに見られるシェアリングエコノミービジネスのように、データ転送に貢献することで報酬(インセンティブ)を与える仕組みをプラットフォーム化して運用できれば、より効果的なCloudMachine-learning-basedMobility/contact probability predictionExtremely HighspeedData drop/download spotSuggested to detour & stop by a specific locationALow-speed but wide are wireless access area①Data Drop②Data Pick-up& CarryEdgeB図4 モビリティ予測を用いたモビリティ制御の概念974-4-1 Piggy-back Networkの概念とモビリティ間近接機会利活用技術の研究開発

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