るモビリティ間での、差分を短時間で検出することが可能となる。実際の超高周波を用いたすれ違い通信可能時間内に、検出された全ての差分データの転送が可能かどうかはより具体的な条件に依るが、データ数が膨大になった場合は、台帳管理しない場合よりも本方式に依ることが優位であることは自明と考えられる。詳細については、4-4-2「分散型台帳技術を用いた自律型モビリティ利活用データ集配信技術の研究開発」を参考にして欲しい。なお、上記分散型台帳技術を用いる場合と異なり、交換されるべきデータを事前に強化学習等の手法で推定したうえで、限られた時間のすれ違い通信に臨む手法についても検討中である。これは、他デバイスに交換されるべき新たな更新データが発生する場所や時間について傾向があり、上述したように全てのデータについてバージョン比較を行う時間的猶予がない場合に有効と考えている手法である。こちらの詳細については、4-4-3「強化学習を用いた自律型モビリティ利活用データ集配信技術の研究開発」を参考にして欲しい。ミリ波IoTを用いたすれ違い通信容量に関わる一検討とモビリティ制御 3.1ミリ波IoTを用いたすれ違い通信容量通信における最大チャネル容量限界はシャノンによる理論[5]で示されており、以下となる。(1)ここで、CCは単位bpsのチャネル容量であり、BBは単位Hzの帯域、SNRSNRは信号対雑音電力比である。ここでSNRSNRは変調指数1を想定すればCNRCNRすなわちキャリア対雑音電力比で置き換えても差し支え無い。ミリ波IoTにおける無線通信路のCNRCNRは下記で示される。(2)ここで、PPrrはキャリア受信電力、kkはボルツマン常数、TTは等価雑音温度、FFは雑音指数である。受信電力PPrrは、送信電力PPtt、送受アンテナ利得積GGaa、通信距離dd、波長λλccを用いてと表現できることから、これを式(2)に代入することで、(3)が得られる。すれ違い通信を行おうとする2台のモビリティ間の相対速度が一定だと仮定した場合、両者間の距離d21は次のような時間関数で表現できる。(4)ここで、DD021は移動を開始する直前の初期状態における距離であり、vv21は相対速度ベクトルである。式(1)〜(4)によって、以下のとおりチャネル容量は時間関数として表現可能である。(5)モビリティがミリ波IoTによってすれ違い通信を行う場合のチャネル容量の時間変動の様子の一例を図6に示した。2台のモビリティが有するアンテナの半値幅としては、比較的低利得(5 dBi)である一方で広ビーム幅(半値幅60度)の場合と、比較的高利得(24dBi)であるがビーム幅が狭い(半値幅5度)の場合を示した。モビリティ間の移動モデルとしては図7に示すように、最接近した場合の距離を2mとして、各々が時速20km/hで移動すると仮定した。3-1-0.8-0.6-0.4-0.200.20.40.60.81time [sec]0510152025303540Capacity [Gbps]HBW = 60 degreeHBW = 5 degree図6 モビリティ間すれ違い通信における経過時間と通信容量の関係(一例)Distance = 2.0mMoveMove20 km/s20 km/sHalf-beam width図7モビリティ間すれ違い通信における通信容量検討で用いた移動モデル994-4-1 Piggy-back Networkの概念とモビリティ間近接機会利活用技術の研究開発
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