となる。この撮影データは、ロボット自身の移動によって見廻り依頼者の再生装置近傍まで届けられ、TransferJet Xによって無線伝送される。図12(a)に、各見廻り場所から見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間を示す。各見廻り場所から見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間は、見廻り場所によって異なることがわかる。図12(b)に、各見廻り場所と見廻り依頼者間における撮影データ転送時間のスループット換算値を示す。例えば、見廻り場所①における撮影データが見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間は、ロボットの移動に要した時間71秒に、TransferJet Xによる撮影データの伝送時間34秒を加えた105秒となるため(図12(a)参照)、撮影データ容量10.48 Gbyte(83.84 Gbits)をこの105秒で割ることで、スループット換算値798 Mbpsが得られる(図12(b)参照)。4.2サービスロボット協働型見廻りシステムにおけるロボット間協調動作の仕組み開発したサービスロボット協働型見廻りシステムでは、異業種の自律移動サービスロボットが運用される現場において、各々のロボットが担当する持ち場で“本来業務”を行いつつ、人からの見廻り依頼やほかのロボットからの協力依頼に応じて見廻りを行うことを想定している。最初に見廻り依頼を受け付けたロボットが、自らよりも見廻り場所に近いほかのロボットの存在を確認できた場合には、代わりにそのロボットに見廻りを行ってもらうことで効率的な見廻りが可能となる。また、撮影データを有するロボットにとって、データを届ける先が本来業務の移動範囲外であった場合、異なるロボットにデータの運搬を依頼することでデータ配信エリアの拡張も可能になる。図13に、本実証実験により確認した見廻り場所の撮影の依頼を協調動作によって実現する場合の動作フローを示す。ここでは、システムは見廻り依頼を最終的に引き受けて撮影を担うロボット(見廻り係ロボット)と、見廻り依頼の情報を中継発信することに加え、撮影データを引き取って見廻り依頼者の元まで届けるロボット(運搬係ロボット)で構成している。今回開発したサービスロボット協働型見廻りシステムにおけるロボットは、920 MHz帯IoT無線を用いた各種情報の図12 各見廻り場所から見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間(a) とスループット換算値(b)020406080100120140160180①48.8m②36.7m③8.6m④28.5m⑤69.2m⑥86.8m見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間[秒]見廻り場所移動時間伝送時間02004006008001000120014001600①48.8m②36.7m③8.6m④28.5m⑤69.2m⑥86.8mスループット換算値[Mbps]見廻り場所5Gの最大スループット(a)(b)4Fフロア見廻り①見廻り依頼②見廻り協力者探し&撮影開始③撮影データを収集&お届け問合せ応答(OK)見廻り場所: Position A届け先: Position BPosition BPosition A見廻り係運搬係再生装置図13 本実証実験で確認した見廻り場所の撮影の依頼を協調動作によって実現する場合の動作フロー1034-4-1 Piggy-back Networkの概念とモビリティ間近接機会利活用技術の研究開発
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