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ればあるほど、より高安定な通信リンクが確立され、転送効率(スループット)も向上すると予想したが、実際にはそのような結果とならなかった。より具体的には、1MB、10MBとのファイル転送試験において、0.6m/sでロボットがすれ違う場合には各々約350MB/s、約255MB/sの転送効率が得られたが、速度が0.2m/sの場合にはこれらが50 MB/sを下回るような現象が確認された。一方で、50 MB、100 MBのファイル転送試験においては、このような現象はやや緩和されて見える。より詳細な検証をもって、このような現象の原因を特定すべきではあるが、低速であるほど十分な受信電力が得られる以前にリンク確立を行ってしまうことで、より低速な通信モードで通信を開始することになり、これが更に上位のTCP層のフロー制御等に影響を与える可能性が考えられる。転送しようとするファイルサイズが大きくなることで、転送そのものに全体として時間がかかることから、TCP層におけるフロー制御の振る舞いによって転送効率もより改善されることが考えられる。図16(a)〜(d)には停止時間が5秒、10秒、20秒、40秒の場合のロボット間でのファイル転送を試みた場合のファイルサイズに対するデータ転送効率(スループット)の関係の一例を示す。これらより、先に図15で示した停止時間を設けない場合と比較して、停止時間を設けることでより大きなファイルサイズの転送が可能となることが分かる。停止時間を設けなかった場合には100 MB程度までのファイル転送しか実現できなかったかが、5秒間の一時停止制御を行うこと図16 すれ違い通信における転送ファイルサイズとデータ転送効率の関係(一時停止あり)050100150200250300350400110100File transfer throughput (MByte/sec)Transferred data file sizse (MByte)0.2 m/s0.4 m/s0.6 m/s0.8 m/s(c)Stop time is 20 sec.0501001502002503003501101001,00010,000File transfer throughput (MByte/sec)Transferred data file sizse (MByte)0.2 m/s0.4 m/s0.6 m/s0.8 m/s(d)Stop time is 40 sec.0501001502002503003501101001,00010,000File transfer throughput (MByte/sec)Transferred data file sizse (MByte)0.2 m/s0.4 m/s0.6 m/s0.8 m/s0501001502002503003504001101001,00010,000File transfer throughput (MByte/sec)Transferred data file sizse (MByte)0.2 m/s0.4 m/s0.6 m/s0.8 m/s(a)Stop time is 5 sec.0501001502002503003501101001,00010,000File transfer throughput (MByte/sec)Transferred data file sizse (MByte)0.2m/s0.4m/s0.6 m/s0.8m/s(b)Stop time is 10 sec.図15すれ違い通信における転送ファイルサイズとデータ転送効率の関係(一時停止なし)1054-4-1 Piggy-back Networkの概念とモビリティ間近接機会利活用技術の研究開発

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