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ノードvjが「データ交換フェーズ」を完了しPoFによりブロックを生成したと仮定する。このときviとvjの台帳構造は、双方で同じ図4(c)のようになる。図4(c)のメインチップは、図4(a), (b) のメインチップを参照していることが分かる。なお、提案手法では同一の2ノード間で連続してブロックは生成できない制約を与えている。これにより、少なくとも2台の悪意のあるノード間で無制限にブロックが生成されることを防ぐことができる。計算機シミュレーションPiggy-back Networkにおける、トランザクション履歴の拡散とデータの拡散にかかる遅延τ(1.3で説明)について、トランザクション履歴の管理に従来型台帳の代表例である単一枝から成るブロックチェーンと、提案するDAG型台帳を用いた場合の比較を行ったので結果を紹介する。4.1シミュレーション諸元シミュレーション諸元を表2に示す。ここで、U(a,b)は、[a,b]の一様分布を表す。自律活動フェーズでは、各ノードは二次元空間をランダムウェイポイントモデルに基づいて移動する。センシングデータは毎回ランダムに選ばれたノード上で、ポアソン過程に基づいてランダムな時間に生成されると仮定する。一つのセンシングデータの転送には10秒かかると想定する。これは、例えば50Gbit(6.25Gbyte)のサイズのデータを5Gbpsで伝送することに相当する。なお、比較対象であるブロックチェーンを用いたシステムにおいてもブロック生成にはPoFを用いるものとする。ブロックチェーンシステムにおいて、もしチェーンのフォークが発生した場合は、Bitcoin[5]やEthereum[6]などにおける対処方法と同様に、短い方のチェーンに含まれていたトランザクションのうち、長いチェーンに含まれているもの以外は再度未保存のトランザクションとして取り出し、最新のブロック生成時に改めてこれらを含めることとする。4.2シミュレーション結果ブロックチェーンとDAG型台帳をそれぞれ用いた場合について、K番目のコンテンツが生成された時点でのネットワーク内の全トランザクション履歴とセンシングデータの拡散までにかかる遅延τを図5に示した。Kは50と100としている。なお、拡散済みトランザクション履歴としては、ブロックに取り込み済みのもののみを観測している。図5より、DAG型台帳よりもブロックチェーンを用いた場合のほうがτが大きいことが分かる。これは、前述しているとおり、台帳がフォークを許容するかどうかの違いによる影響である。すれ違い通信に基づくDTNでは、フォークが頻繁に発生してしまう。つまり、一度ブロックに取り込まれたトランザクション履歴が再度未保存トランザクションとして扱われるという現象が同時多発的に発生するため、ブロックに取り込まれた形で全ノードにトランザクション履歴が拡散されるまでに多くの遅延が発生してしまっている。次に、図6にネットワーク上で最初のコンテンツが生成されてからの各時間における、全ノードに拡散済4図5K番目のコンテンツが生成された時点の全トランザクション履歴と全コンテンツが拡散されるまでの遅延τ050100150200250300K=50K=100遅延τ [sec]DAG型台帳(提案手法)ブロックチェーン(従来手法)図6 各時刻における全ノードに拡散済みのトランザクション履歴数表2 シミュレーション諸元フィールド面積300×300 mノード数10移動速度の分布U(0.2,1) m/s1コンテンツ当たりのデータ転送時間10秒Dc 100 mDd 5 mデータ生成の平均時間間隔1 分1114-4-2 分散型台帳技術を用いた自律型モビリティ利活用データ集配信技術の研究開発

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