HTML5 Webook
120/124

図51ラウンドあたりの照会回数と更新データの検出率 (データ更新確率が一様である場合)図6 1ラウンドあたりの照会回数と更新データの検出率 (データ更新確率が階段状である場合)図7 1ラウンドあたりの照会回数と更新データの検出率 (データ更新確率が1データと他データで大きな偏りがある場合)性能評価各ラウンドタイムに対して1セグメントのデータが更新されていくようなシステムを想定し、各セグメントに対して更新頻度が異なる3つのシナリオ別にデータ照会シミュレーションを行った。まず、図5は各データセグメントに対して、更新率が等しいシナリオにおける結果である。各タイムラウンドにおけるデータ照会の回数に対する平均ヒット率——照会データが更新すべきデータであったことを示している。この結果から、データの照会回数が増えることがヒット率の増加につながることを示している。TOWとランダムの照会スキームを比較するとランダム手法の場合による平均ヒット率が約20%高いが、これはデータの更新が一様に発生する場合だと、特定のデータが更新されやすいと判断し、誤った学習が進んでしまうためであると考えられる。続いて、図6はセグメントに順位付けされた重みをつけたデータ更新確率における結果である。こちらもTOWは誤ったデータの更新率を学習したことにより、ランダムに照会した場合における結果の方が高くなっている。 最後に、図7は一つのセグメントのデータの更新頻度が高く、その他のセグメントのデータの更新率が一定のシナリオである。ロボットの稼働する場所や時間帯によって、こうしたデータの更新頻度に偏りが生じることは大いに想定される。この結果によると、照会回数が少ない場合のTOWの平均ヒット率が高く、照会回数に関わらず一定の平均ヒット率を示している。このことからデータの照会数に限りがあり、データの更新率に大きな偏りを持つ場合、TOWを用いたデータ照会スキームが有効であることが判明した。むすび本稿では、来るBeyond 5G時代でのミリ波SCFネットワークにおけるデータ同期のためのモビリティ間事前交渉技術として、機械学習型MABアルゴリズムであるTOWを用いたデータ照会スキームを紹介した。シミュレーションより、10セグメントで構成されデータの更新頻度に大きな偏りがあり、かつ、データの照会回数に限りがある場合、本手法はランダムなデータ照会手法よりも最大約40%の更新データの検出が行えることを示した。様々なデータの更新頻度に対応できるようなアルゴリズムの改良が今後の課題である。45116   情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)4 NICT総合テストベッドの新たな可能性に向けた研究開発

元のページ  ../index.html#120

このブックを見る