サービスレイヤテストベッドを実現する高度データ連携・利活用技術 図12に、サービスレイヤテストベッドの概要を示す。これは、図8にも整理されているように、B5G時代の無線通信システムにおいて存在し、やり取りされる膨大かつ多様なデータを取り上げ、適切に分析することで、システムの利用者に対して、高度な情報を適宜提供する等の、様々なアプリケーションを、複数のAPIを通じてB5Gのネットワークテストベッドの上で実装し、検証を可能とする概念である。アプリケーションに相当するプラットフォームは、上述したような異分野データ連携プラットフォームだけでなく、多言語音声認識・合成・翻訳・対話プラットフォームや、時空間GISプラットフォームへの拡張対応を想定している。ワイヤレスエミュレーション技術6.1ワイヤレスエミュレーションの概要電波を発することなく無線システムの挙動を模擬し、評価を可能とするワイヤレスエミュレーション技術は、B5G時代のテストベッド環境の最も意義の高い利活用事例として注目されていて、我が国では総務省の研究開発プロジェクト「仮想空間における電波模擬システム技術の高度化に向けた研究開発」を通じて研究開発と実用化の促進が図られている。総合テストベッド研究開発推進センターは、本プロジェクトの受託者であり、ワイヤレスエミュレーションの中核である大規模仮想環境検証基盤を整備し、テストベッド環境として有効な利活用を進めている [9]–[11]。本節では、ワイヤレスエミュレーションプロジェクトの概要と当センターの取組を述べ、大規模仮想環境検証基盤に基づくテストベッド環境整備の進捗について報告する。図13に、ワイヤレスエミュレーションの概要を示す。ワイヤレスエミュレーションは、複数の高性能サーバにより構成される大規模仮想環境検証基盤上で行われ、当基盤上において構成され、電波伝搬モデル・電波発射挙動モデルを適切に反映した無線リンクエ56高精度・リアルタイム電波模擬大規模仮想環境検証基盤疑似無線機実無線機電波伝搬モデル・電波発射挙動モデル結果出力仮想無線機A/D変換部無線リンクエミュレータ…モデル入力図13 ワイヤレスエミュレーションの概要図12 サービスレイヤテストベッドの概要10 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)2 NICTにおける総合テストベッドの概要とB5Gに向けた取組
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