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互に4K映像を配信する国際伝送実験を行った。3.7JUCC(香港)JUCC (Joint Universities Computer Centre Ltd, 大学連合コンピューターセンター)は、香港大学・香港中文大学等の大学を会員とした高等教育機関(大学)によるコンソーシアムである。2017年頃から、ネットワークリソースの共有や相互扶助を目的としたGNA(Global Network Architecture)が提唱され、これに準拠した交換点(eXchange Point)として、2018年4月にHKOX (Hong Kong Open eXchange)をJUCCが開設した。NICTのJGNとHKOXは、2019年2月に香港で10Gbps回線接続している。なお、HKOXは、2021年1月に、HARNET R&E Nodeと改称している。(HARNETはJUCCが運用する会員向けのネットワーク、Hong Kong Academic and Research Network)3.8ASGC(台湾)ASGC (Academia Sinica Grid Computing Center、台湾中央研究院グリッドコンピューティングセンター)は、台湾・中央研究院配下の組織である。中央研究院内でe-Science用のインフラを運用している。WLCG (World-wide Large Hadron Collider Computing Grid)に加盟しており、LHCOPN/LHCONEのTier-1 の役割を持つ。また、防災・減災関係の研究も活発に行われており、ひまわりリアルタイムWebのサーバがASGC内に置かれている(5.2参照)。NICT (JGN)とはシンガポールでネットワーク相互接続している。3.9TransPAC/Indiana大学(米国)TransPACは、1998年に始まったインディアナ大学国際ネットワーク(IN@IU)が、米国NSFから資金を得て、管理運営するプロジェクトの一つである。IN@IUは、TransPACの他、NEA3R (ネットワーク)、NetSage (ネットワークの分析)などのプロジェクトも運営しており、ネットワーク接続を提供することで国際的な研究教育の推進を目的としている。現在のTransPAC5プロジェクトは、2020年から5年間の計画で進められている。TransPACは、シアトル-東京間に100Gbps回線を持ち、グァム-シンガポール100Gbps回線コンソーシアムにも参加している。NICTの実証実験でもTransPACの協力を得て実施したものがある。例えば、2018年2月のさっぽろ雪まつり8Kライブ配信(5.1参照)や2019年11月に米国コロラド州デンバーで開催されたSC19での日米間500Gbpsデータ転送実験(5.4参照)においては、TransPAC回線を利用している。国際共同公募による共同研究プログラムNICTは、先進国・地域の資金提供機関と連携して、国際共同公募による共同研究プログラムを実施している。4.1米国NSF JUNONICTと米国国立科学技術財団(NSF: National Sci-ence Foundation)のコンピュータ情報科学工学局(CISE: Directorate for Computer and Information Science and Engineering)に属するコンピュータネットワーク部(CNS: Division of Computer Network Sys-tems)は、2007年以来、主に将来ネットワーク/新世代ネットワークの研究分野において連携を行ってきた。共同研究プログラムの形成に向けて、2008年及び2009年に第1回及び第2回日米将来ネットワーク ワークショップをNSFと共同開催した。2010年から2012年度まで、NICT・NSFが共同で将来インターネットの設計に向けた7件の研究提案に資金を提供し、日米の研究者を支援した(日米共同研究プログラム第1弾)。2012年3月、日米両政府は“インターネットエコノミー日米政策協力対話(第3回局長級会合)”[12]において、「新世代ネットワーク(NWGN)/将来インターネットの研究開発」分野で協力することが確認された。共同研究プログラムの形成に向けて、2012年11月、第3回日米将来ネットワーク ワークショップ[13]をNSFと共同開催し、共同研究を行う3つの領域を特定した。2013年5月、NICTとNSFは、それぞれの国の研究者に対して、この3領域における共同研究を支援するために連携することで合意し、包括的協力覚書(MOU)を締結した[14]。同MOUに基づき、2013年7月から11月まで、NSFと共同で「将来ネットワークの実現に向けた超大規模情報ネットワーク基盤技術に関する研究」に関し、(1)モデル化及び設計、(2)モバイルコンピューティング・ネットワーキング技術、(3)光ネットワーク技術の3領域について、日米共同研究プロジェクト提案の公募を行った[15]。2014年2月から2017年2月まで、JUNO (Joint Japan-US Network Opportunity)(日米共同研究プログラム第2弾)として、7件(NICTとの連携を含む)の日米共同研究プロジェクトが実施された[16]。2016年3月、JUNO後継プログラムの形成に向けて、スマートコミュニティを支える高信頼ネットワークに関するワークショップをNSFと共同開催し、共同研究を行う2つの領域を特定した。2017年7月から12月428   情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)3 NICT総合テストベッド利活用の向上と拡大を目指して

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