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5.5eVLBI実験(長距離精密周波数比較)NICTでは、VLBI(超長基線電波干渉法)を応用して、大陸間の光格子時計の周波数を精密に比較する技術を開発している。従来の測地VLBIより格段に大域幅の広い3-14GHzの観測を可能とするために、VLBI観測局間を光ファイバネットワークによって接続する技術(e-VLBI)を用い、イタリアINAFーNICT間をJGN等の国際ネットワークで接続して4-6 Gbpsのデータレートでデータを伝送した。国際ネットワークは、イタリアGARR、欧州GÉANT、米国Internet2及びTransPACの協力を得て構成している(図12)。その他その他の協力の枠組みとしてCENTRAとJGN国際ネットワークの変遷について述べる。6.1CENTRACENTRA (Collaborations to Enable Transnational Cyberinfrastructure Applications)[46]は、世界レベルで、研究所・ラボ間の協力関係を構築するためのパートナーシップを推進し、それ自体がフレームワークともなっている。ソフトウェアで定義されたサイバーインフラ及び地球規模問題を解決するデータ・ソフトウェアの出現を背景にして、災害管理、環境モデリング、スマートコミュニティ、コネクテッドコミュニティなどの幅広い応用分野で、国際的な科学ネットワークに参加できる技術的・文化的能力を備えた新世代の研究者を育成することを目的とした、サイバーインフラストラクチャの共同研究活動を支援している。現在の機関メンバーは以下である。 •米国フロリダ大 ACIS研究所(NSF) •NICT •台湾CECEA (Center of Excellence for Cyber-Enablement of Applications) •ポルトガルINESC-TEC (Institute for Systems and Computer Engineering, Technology and Science) •韓国 KISTI (Korea Institute of Science and Technology Information)最初のCENTRA会合は2016年3月に台湾で開催され、以後、2017年4月 CENTRA2 米国、2018年5月 CENTRA3 日本、2019年4月 CENTRA4 韓国、2021年9月 CENTRA5 ポルトガルと毎年一度開催されている(2020年は新型コロナ蔓延のため中止)。このほか、オンラインでウェビナーが頻繁に開催されている。6.2JGN国際ネットワークの変遷以下にJGN国際ネットワークの変遷経緯を示す。 •JGN22004年8月東京-シカゴ 10 Gbps (OC-192 SONET)2005年11月東京-バンコック45 Mbps (ATM) 東京シンガポール155 Mbps (OC-3 SONET)2007年 福岡-釜山 2.4Gbps 東京-香港 2.4Gbps •JGN2plus2008年東京-LA-シカゴ 10 Gbps2009年東京-バンコック廃止 東京-シンガポール-バンコック 622 Mbps6図12  国際的なVLBI観測ネットワークへの貢献図11 SC19 500Gbps伝送実証実験34   情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)3 NICT総合テストベッド利活用の向上と拡大を目指して

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