に構築したエミュレーション環境をリアルタイムに接合し、それぞれで発生したイベントを共有することで、ICT基盤から人の動きまでをカバーする実証基盤を構築するためのプラットフォームを構築した。図3に示すように、既存のマルチエージェントシミュレータのプラグインとしてシミュレータ内部の任意の位置の情報を取り出し、さらに、ICT環境上でのイベントを入力するシステムとしてシステムとして実装を行った。2.4広帯域のトラフィック観測を可能とするJAIanの開発StarBEDでは一台のPCを一人の利用者が占有することや、物理的なネットワーク構成としてボトルネックを構成しないことで、利用者間の実験の相互影響を排除するような構成を取っている。一方で実験実施のコストを低減するためには、ハードウェアでの制限だけでなく論理的な分割についても考慮しSoftware Defined Testbed技術としての研究開発を実施した。論理的にネットワークを切り出しそれぞれに必要な特性を持たせるためのSoftware Defined Network(SDN)技術は広く利用されており、テストベッド環境も仮想化を行い柔軟にリソースを利用したいという要求がある。しかし、パフォーマンス検証のためには一般的に保証される最低性能だけでなく、設定された性能上限を越えた場合にも環境的に余裕があったとしてもそれ以上の処理を制限する必要があり、既存のSDN技術を活用しにくいという点があった。また実験中に即座に任意の位置のトラフィックを確認したいという要望があり、高速なトポロジ変更を可能とし、大量のログ情報を保存するための機構の開発を行った。トポロジ上の任意の位置のトラフィックを10 Gbps超で受信できるJAIan(図4)を開発した。図3 シミュレータとエミュレータの統合環境図4 10Gbps超のログ配信/記録システムJAIanリアルタイムに取得したいログ情報を指定ネットワークインターフェイスに入力されたパケットを高速に解析・保存必要なログ情報を出力58 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)4 NICT総合テストベッドの新たな可能性に向けた研究開発
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