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ユースケース我々はこれまでで紹介した技術を連携させいくつかのユースケースを構築している。本節ではこれらのユースケースについて述べる。3.1Bluetooth Low Energyを使ったモバイルアプリケーション検証システム(AOBAKO)美術館の展示物や商店街などのロケーションに依存した情報を提供するためBluetooth Low Energy(BLE)ビーコンを用いたアプリケーションが提供されることが多くなっている。美術館では展示品に近づくとその展示品に関するデータがスマートフォンに表示されたり、商店街では割引クーポンなどが送られるといったものである。こういったアプリケーションはビーコンの設置場所や電波状況によって影響を受け、実際の場所で検証を行う必要がでてくるが、美術館の休館日や商店街でも人がいない時間帯を調整して検証を行うなどが必要で実地での確認はコストが大きい。このような実地での検証の回数を低減するため、無線環境を模倣する環境を構築している。BLEのエミュレータとしては昨年度からBluMoonとして開発を進めてきたが、この技術を活用してAOBAKO [7](図5、6)を実現した。ユーザがAOBAKO DESK上で、ビーコン発生器及び端末に見せかけた紙製のコマを任意の位置に置くことで、それぞれの位置を指定し、その位置を画像認識で取得、その状況をStarBEDの有線ネットワーク上に模倣、AOBAKO SCOPE上に模倣状況を表示する。BLEの通信状況として減衰や衝突などがこの時点で模倣されており、StarBEDのPC上で動作するアプリケーションの検証が可能である。また、これと同時に、AOBAKO BOXに設置されたBLEビーコン発生器からAOBAKO BOXで指定された位置状態に応じた伝搬状況でBLEビーコンを送出する。これにより、実際のスマートフォンデバイスとアプリケーションの検証を実現した。3.2SmithsonianによるIP電話環境模倣事例(Jonathan)シミュレータ・エミュレータ連携基盤Smithsonianを利用したデモンストレーションとしてJonathan [8]を構築した。本事例では株式会社構造計画研究所が開発しているマルチエージェントシミュレータartisocとStarBED上で動作させたエミュレーション環境を接続している。artisocでは100人の人の移動(ここで3図6 AOBAKO構成図図5 AOBAKO動作図UIとして「コマ」を移動「コマ」の位置情報からStarBED上にエミュレーション環境を構築StarBED上に構築されたエミュレーション環境を可視化StarBED上に構築されたエミュレーションと同様のBLEビーコンを送出実際の電波を使った検証を可能に594-2 IoT技術の検証を可能とするテストベッドの研究開発

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