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ている。Smithsonianはシミュレーションとエミュレーションを融合させることにより、ICT技術への入力を多様化させ、またICT技術が持つそれ以外の環境への影響の確認を可能とする技術である。我々はこの考え方を推し進めCyReal(サイリアル)な検証環境の構築を第4期中長期計画後期から開始している。CyRealは我々が構築した造語であり、エミュレーションとシミュレーション、さらに実システムを総合に接続した環境である。図9にCyRealな環境での検証の概念図を示している。図中左端はすべてシミュレータで構成された検証環境であり、それぞれが独立して動作するものの、連携することで一つのシミュレータでは実現できなかった検証を可能とする。このようにそれぞれの要素(左端の例ではシミュレータ)が、一定の規定に従った形で連携をすることで、その要素をエミュレータや実システムに置き換えることが可能となる。実システムが組み込めるため、当然人間もここに加わることが可能であり、システムの検証だけでなく、訓練や、またすべてが実システムに置き換われば、それはそのまま実用環境となる。このような環境構築を行うことを一つの目標として第5期中長期計画でも、テストベッドの研究開発を進めていく。謝辞本研究の一部は、総務省・電波資源拡大のための研究開発「IoT 機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発」によって行われた。参考文献】【1T. Miyachi, T. Nakagawa, K. Chinen, S. Miwa, and Y. Shinoda, “StarBED and SpringOS Architectures and their Performance,” International Con-ference on Testbeds and Research Infrastructures for the Development of Networks and Communities (TridentCom 2011), April 2011.2K. Akashi, T. Inoue, S. Yasuda, Y. Takano, and Y. Shinoda. “NETorium: High-Fidelity Scalable Wireless Network Emulator,” 12th Asian Internet Engineering Conference (AINTEC 2016), pp.25–32, Nov. 2016.3T. Yumura, K. Akashi, T. Inoue, and Y. Tan, “BluMoon: Bluetooth Low Energy Emulator for Software Testing,” Sensors and Materials, vol.33, no.1 pp.147–169, Jan. 2021.4三輪信介, “Gigandroid : 多数のスマートフォンを対象としたサービス検証基盤の提案,” 第17回インターネットテクノロジーワークショップ (WIT2016), May 2015.5中村拓人,大畑誠弥,湯村,翼, “エミュレータを用いた大規模IoTシステムテストのための実験環境構築機能の開発,” 第28回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集, pp.215–218, Nov. 2020.6大畑誠弥,中村拓人,湯村,翼, “IoTエミュレーションシステムにおける監視制御機能の提案,” 電子情報通信学会2021年総合大会予稿集, March 2021.7T. Yumura, M. Enomoto, K. Akashi, F. Hirose, T. Inoue, S. Uda, T. Miyachi, Y. Tan, and Y. Shinoda, “AOBAKO: A Testbed for Context-Aware Applica-tions with Physicalizing Virtual Beacons,” 2018 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (UBICOMP 2018), pp.476–479, Oct. 20188湯村翼, 榎本真俊, 押川侑樹, 井上 朋哉, 宮地 利幸, “Jonathan: テストベッドにおいてマルチエージェントシミュレータと通信エミュレータを連携する基盤の開発,” 合同エージェントワークショップ&シンポジウム2017(JAWS2017), Sept. 2017.9K. Hiroi, T. Inoue, K. Akashi, T. Yumura, T. Miyachi, H. Hironaka, H. Kanno, and Y. Shinoda, “ARIA: Interactive Damage Prediction System for Urban Flood Using Simulation and Emulation Federation Platform,” 2019 ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (UBICOMP 2019), pp.284–287, Sept. 2019.図9 CyReal環境シミュレータシミュレータシミュレータシミュレータシミュレータシミュレータシミュレータシミュレータSmithsonian PFシミュレータエミュレータシミュレータ実システムシミュレータシミュレータエミュレータシミュレータSmithsonian PF実システム実システム実システム実システム実システム実システム実システム実システムSmithsonian PFシミュレータテストベッド実環境Smithsonianは汎用連携基盤として動作サイバー環境(シミュレータ)とリアル(実システム)、そしてシミュレーション技術で実現されたエミュレータ上で実装を動作させるエミュレーションを組み合わせ、様々な動作モードの切り替えを可能とする検証環境としてサイリアル環境を構築。Smithsonianを用いシミュレータ・実システム・エミュレータを連携、構成システムの一部を差し替えることで、シミュレータから実環境までの検証を可能とする基盤を構築。連携基盤をそのままにすべてを実システムとすることで実際の運用環境に構成システムの差し替えによる動作モードの変更シミュレータ群の一部をエミュレータ実システムを挿入することで実装の検証を可能に異なるシミュレータ群の連携を可能に614-2 IoT技術の検証を可能とするテストベッドの研究開発

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