学にHCPサーバをセットアップし、さらに他拠点のHCPクライアントからの高速ファイル転送環境整備を行った。これにひまわり衛星に関するデータ(総データサイズ48 TB、総データファイル数850万)を不老のホットストレージに転送し、これらのファイルがバックエンド処理によりコールドストレージに正しく保存されていることをdiffコマンドにより確認した。バックアップシステムの有用性は確認できたものの、この方法はデータファイルの一括バックアップには適するが頻繁に書き込む用途には向かないため、キャッシュ機能や新規書き込み等の転送機能についての検討が必要であることが分かった。九州大学及び千葉大学については、3.7で述べるタイルドディスプレイ(TDW)用のOSS化されたミドルウェアChOWDER[62][63]による大規模データ可視化のための基礎環境整備が完了した(図8)。L2VPN上の京都大学VMサーバ上にChOWDERサーバを起動し、そこに接続したタイルドディスプレイで超高解像度コンテンツ表示が可能なことを確認した。また、NICTに地図と数値標高データの配信サーバを構築した。今後は、3次元時空間GISデータの大規模可視化を九州大学や千葉大学のタイルドディスプレイ間で同期レンダリングする実験を検討する。信州大学は、図9のひまわりゲームサーバに高速接続し、スムーズな時系列データ可視化を行うPCをL2VPN網で接続し、ひまわりゲームを高速に体験することに成功した。ゲームの場合、アプリケーションが停止することなく動作することが重要であるが、L2ネットワークの導入によりこの問題を回避した。将来的には信州大学に10 G接続された地域の小中学校において同実験を児童たちに対して行う計画である。筑波大学については、NICTからGfarm実験用のサーバ群20台(総コア数208、総メモリサイズ1,648GB)の移設及びUPSの設置を完了した。今後の性能検証実験に向けてGfarm最新版(バージョン2.7.18)のセットアップを完了した。その際、システムの一部を、筑波大学開発のコンシステントハッシュファイルシステム(CHFS)[64]で利用することとした。国立極地研究所ではNICTが独自開発したオープンソースのjQueryであるTimeline及びTileViewerを用いた時系列高解像度オーロラ画像データセットの準図10STARSライブラリのオープンソースWebサイト(http://www.k2go.jp/publicで公開予定)図8ChOWDER(OSS)によるTDW(タイルドディスプレイ)大規模可視化事例:(上)超高解像度分散レンダリング、(下)複数GISコンテンツ(気象衛星画像)同時表示図9ひまわりリアルタイムをベースにHTML5/iframeにより作成したひまわりゲーム(台風進路追跡)70 情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)4 NICT総合テストベッドの新たな可能性に向けた研究開発
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