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柔軟に実現可能としながら、なおかつ、ネットワークインフラや計算機が予想されるその構成要素については、実環境から適切に隔離されることによる安全性も確保しながら、上述したようなシステムの検証を効率的に進行する方向性である。総合テストベッド研究開発推進センターでは、以上のような観点よりこれまで、超高速研究開発ネットワークテストベッドであるJGNと、大規模エミュレーションテストベッドであるStarBEDを含めた総合テストベッド環境を構築し、運用してきた。当センターでは、2021年度より始まった第5期中長期期間において、既存のテストベッド環境に加えて、B5G時代において上記のような課題の適切なる解決策となるようなテストベッドへの拡張のための取組を開始している。本稿では、NICT総合テストベッド研究開発推進センターのB5Gに向けたテストベッド環境構築・運用のための取組について述べる。B5Gに向けた展望2.1B5G時代の無線通信サービス要件の考察本節では、前述した無線通信システムの高度化・多様化に関して、無線通信サービス要件という見地で考察する。図1は、B5G時代の無線通信サービス要件として、4Gや5Gにおける状況からの遷移についてまとめている。4G以前では、通信速度に代表される単独の通信サービス要件について性能の向上が追求されていたのに対し、5Gにおいては、物理世界と、仮想的なサイバー空間の双方を考慮するサイバーフィジカル連携の導入により、無線通信主体がヒトからヒト/モノまで拡張されると同時に、冒頭にて述べたように状況に応じて大容量、低遅延、多数接続等の複数の要件が選択的に満足される局面が生じることとなる展望を示している。6Gの商用化は、当初は5G商用化の単純な10年後とする2030年と言われながら、前倒しとなる兆候が散見されている。図1に挙げた6Gのイメージは、当該無線通信サービス要件が、それぞれで複合し、折衝し、調和しながら、更なる要件を形成し満たしていくような形態である。このような無線通信サービス要件間の作用を要件間連携と呼称しているが、これをもたらすために不可欠な技術要素となるのが前述のサイバーフィジカル連携基盤であると考える。すなわち、テストベッド環境により具現化される、高精度かつリアルタイムな電波模擬技術により、要件間連携が通信主体の需要や、伝搬路状況等の環境によって動的かつ適切に提供される形態が期待される。2.2B5G時代の研究開発の方向性図2に、B5G時代における地上系無線システムに関する研究開発の方向性を示す。実用化された5Gシステムにおいて、バーチカルセクタと呼ばれる異なる無線通信要件がサイバー空間を介して管理・運用される2ヒト~4G5Gヒト/モノ通信サービス要件では、6Gは?ヒト/モノ6GCPS電波基盤要要件件間間連連携携高度無線アクセス拡張無線システム高度電波模擬高信頼ワイヤレスワイヤレスグリッド工場無線多様化(高速,低遅延, 多数接続, …)する55GG//BB55GGモモノノ主主体体シシスステテムムの研究開発プライベートマイクロセル低遅延&多数接続ササポポーートトププロロジジェェククトト::可用性:どこでサービスを受けるか接続性:どのようなサービス品質か5Gの特徴である、サイバー空間を介したバーチカルセクタ間サービス管理ササイイババーーフフィィジジカカルル連連携携基基盤盤高高度度化化アアククセセスス次次世世代代IIooTTワワイイヤヤレレスス適適用用拡拡張張統統合合モモビビリリテティィ発展図1 B5G時代の無線通信サービス要件図2 B5G時代の研究開発の方向性4   情報通信研究機構研究報告 Vol.67 No.2 (2021)2 NICTにおける総合テストベッドの概要とB5Gに向けた取組

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