[59][60]。HpFPを基盤とした高速ファイル転送ツールHCPは商用化されており、JHPCN広域分散クラウド(2.4)やJGNもDTN(Data Transfer Node)として参加しているSuperComputing AsiaのDMC(Data Mover Challenge)でも高い性能を発揮している[49]。3.4映像IoT(Visual IoT)情報通信技術の急速な成長により、実空間(物理空間)での大量の情報・データが様々センサーによって生成され、サイバー空間(クラウドシステムなど)に蓄積されている。モノのインターネット(IoT:Internet of Things)は、IoTセンサー群をインターネットに接続することによりセンサーにより取得される実空間現象をサイバー空間上に再現する概念である。Iyerらにより2016年に提唱された映像 IoT[87]はIoTのクラスの一つである。一般的なIoT型センサーと異なり、映像IoTではイメージセンサーまたはビデオセンサーをIoTセンサーと位置付ける。すなわち、IoTデバイスにモバイルカメラなどのビデオ伝送機器を装備し、これをインターネット接続することで映像IoTセンサーとする。図23に示すとおり様々な環境に映像IoTセンサーを配備することで、社会インフラや公共設備の監視、防災・減災への取組などが可能となる[88] [89]。映像IoTでは、映像データの広帯域幅の確保やエッジ側でのコンピューティングと通信のトレードオフなど、様々な技術課題に対処する必要がある。Iyerらは特に(1)高品質なビデオ伝送と(2)画像処理や画像認識技術による画像からの情報抽出の2点を指摘している[87]。筆者らが開発したHpVTプロトコル及びそれを用いたHpVTアプリケーション[90]は図24に示すとおりこれら2点を解決するために開発した映像伝送用の技術であり、近年のWebカメラ等で主として用いられているHTTP伝送の欠点を補うために設計されている[91][92]。パケットロスやジッタなど環境変動に弱いTCPベースのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やHTTPSと異なり、UDPベースの独自プロトコルHpVTは動画像のフレーム送出をできるだけ平滑化し、不要なバッファリングを行わないことで映像のストリームをスムーズに再生することに特化した。ネットワーク環境の変化により帯域品質が低下した場合には優先フレームのみを送出することで画質よりも映像のリアルタイム性を重視している。HpVTプロトコルは、特に4G/LTE 等のモバイル通信網においてその性能を発揮する。HpVTアプリケーションはHpVTプロトコルの性能を有効活用し、同時にユーザが独自に画像処理プログラムを構築することができる環境を提供する。図24に示すとおり送信側(エッジ側)のシングルコンピュータ(Raspberry Pi)上にはOpenCV環境を用意してあり、取得動画像フレームをリアルタイム処理することができる。例えば、動画像フレームから任意のフレームを静止画像として抽出することや、一定間隔の動画像ファイルを抽出することが可能である。その例として、これまでの筆者らのオペレーションでは1分ごとに1秒分(30フレーム)の連続静止画像抽出及び1時間おきに2秒間の動画像抽出などの実験を行い、正常な画像取得を確認している。このような特殊な画像取得図25受信側画像のOpenVGによる情報オーバーレイ事例(パラメータ表示部)図23 映像IoTコンセプト図24 HpVTプロトコル及びアプリケーション概要774-3 時空間データGISプラットフォーム
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