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アルタイム[107][108]である。ひまわり衛星の全データをリアルタイム公開するひまわりリアルタイムアプリ(図32)は、高速データ伝送、並列分散処理、スケーラブル時系列可視化などの先端的情報通信技術のマッシュアップにより実現した(図33)。気象予報(図34)、報道、教育、インターネット、イベント(図35)等で幅広く利用されている。年々利用件数は増加(2019年は300万PV以上)している(図36)。以下にひまわりリアルタイム研究開発の概要を示す。ひまわりリアルタイムは日本域観測データを10分以内(フルディスク観測データはは30分以内)にインターネット公開することで、誰もが「現在の地球の様子」をPCやスマートフォンで閲覧できるアプリケーションである。ひまわり衛星を含む気象衛星データ閲覧Webサイトや画像表示アプリケーションは国内外に数多くあるが、世界的に見ても観測直後にインターネット上で画像を一般公開するアプリケーションはない。しかも、ひまわりリアルタイムはフル解像度かつ全観測バンド(すなわち全衛星観測データ)を公開対象としており、特定データを選択的に公開しているわけではない。筆者らは現在、ひまわりリアルタイムの高機能化への取組の一つとして、時系列データ同期技術STARS(3.1)を用いた全16バンドのフル解像度画像同時プレビュー機能を開発中である。ひまわりリアルタイムは現在の技術で可能な最も高速と言えるデータ伝送・データ処理を実現しており、基盤技術としては完成度が高い。今後はこのWeb技術を横展開し、産学官及び民間での事業化を目指すことになる。ひまわりリアルタイムは「現在のデータを可視化する」アプリケーションであるが、これに提供者の様々な情報をオーバーレイすることで付加価値を生み出すことができる[109][110]。図35のひまわりゲームはその例であり、ベースとなるひまわりリアルタイムにゲーム機能をオーバーレイすることで、様々な気象現象をひまわり画像上で発見するゲーム機能を実現している。ひまわりリアルタイムには2019年の大型台風(台風19号)接近時には合計で50万を超えるアクセスがあった。民間気象予報Webサイトのような気象予報情報を掲載しないにもかかわらずこれほどのアクセスがあるのは、一刻も早い台風現状把握を望む社会ニーズに応えているからである。また、図36に示すとおり近年は海外からのアクセスが50%前後であり、アジア諸国へのサービス充実が求められている。フル解像度のピラミッドタイル画像ファイルを独自高速伝送技術でJGN及び他のAPAN国際高速ネットワーク(図37)を介してリアルタイム伝送し[111]、各国のミラーサイト上でデータ公開することはひまわり衛星データの国際貢献で重要である。現在は、東南アジア3か所にミラーサイトを立ち上げており(図38)、例えばタイミラーサイトへの2019年のアクセス数は前年比で17倍となった。ひまわりリアルタイムではWebを通じた個人への情報提供だけではなく、気象予報、報道(テレビ、新聞、雑誌)、教育(科学館)、インターネット(ネット図37 JGN国際回線・国内回線及びAPAN(Asia Pasific Advanced Network)(2018年度時点)814-3 時空間データGISプラットフォーム

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