て、環境データと交通データから、異常気象時の交通リスクを予測する全天候型道路混雑予測モデルVEENAを開発した(図1)。評価実験では、39,873件のトランザクションを対象に80%の予測精度をあげつつ、メモリ使用量5割、処理速度9割削減し(対EFIM(naïve)、1.5GHz GPU・4GBメモリ)、処理性能の大幅な改善を実現した。現在、SHUIMとVEENAを、後述するxDataプラットフォーム上に実装し、異常気象等が発生した際の交通リスク予測に基づく行動ナビゲーションへの応用を進めている。2.2時空間相関パターンの学習・予測様々なセンシングデータ間の時空間的な相関パターンを学習し、未知の相関データを予測できるようにする機械学習技術の開発に取り組み、異なるセンサーにより様々な場所で観測された環境データや気象データを組み合わせ、それらの時空間的な分布や移流のパターンを学習し、環境品質(AQIやEQIなど)の短期的な変化を予測することに応用している(図2)。深層学習の一種である畳み込みリカレントニューラルネットワークCRNN(Convolutional Recurrent Neural Network)をベースに、CNN(Convolutional Neural Network)により地理空間グリッドのセンシングデータを入力とした特徴マップを生成し、それらの時系列変化をLSTM(Long Short-Term Memory)によりモデル化する手法[4]を開発した。環境データや気象データの時空間分布に偏りがあることを考慮し、関心のある領域(ROI)ごとのモデルを結合しグローバルなモデルを構築する際に、これらの結合を最適化することで、高い汎用性と予測性能を実現している。越境汚染事例を対象に、国内や東アジア沿岸部の環境基準測定局データを用いたAQI短期予測(1~12時間後)では、70~90%の予測精度を達成した。さらに、CRNNだけでなく、グラフニューラルネットワークMASTGN [5]による改良も行っている。また、ユーザがIoTセンサー等を用いて収集したデータを用いて、追加学習(Decoder Transfer Learn-ing)を行うことで、特定のルートやホットスポットの予測が可能になるよう拡張したDTL-CRNN手法[6]も開発した。環境基準測定局データを用いた地域メッシュ(5次、250 m四方)単位のAQI短期予測モデルを、ウォーキングや車両運転中に収集したデータを用いてルート単位の予測にカスタマイズできるようにし、評価実験では、一般的な測定局データの空間補完法(IDW)による予測と比較し、予測精度を15~37%(SMAPE値比)向上させられることを確認した。これらの技術は、後述するxDataプラットフォームの環境品質短期予測に実装し、自治体の環境基準監視業務支援等への社会実装を進めている。2.3マルチモーダル・クロスモーダルAI多種多様なセンシングデータを組み合わせ予測分析……t•短期予測(1~12時間後)•5次メッシュ(250m四方)やルート単位•観測システム(大気、気象など)•データポータルやWeb時時空空間間相相関関パパタターーンンのの深深層層学学習習•IoTセンシング様様々々ななセセンンシシンンググデデーータタのの収収集集環環境境品品質質予予測測00.10.20.30.40.50.60.70.80.91136912AccuracyPrediction Time(h )CRNNLSTM-onlyLRPF•ルルーートト単単位位ののAAQQII短短期期予予測測(予測誤差)測定局データの空間補完手法(IDW法)に比べ予測誤差を30%前後改善01020304050Route1Route2Route3Route4Route5MAEIDWDTL-CRNN縦軸は精度、横軸は予測時間•越越境境汚汚染染ののAAQQII短短期期予予測測性性能能【応用例】•環境基準常時監視(注意報・警報発令早期警戒)•環境リスクを避けたルート案内など図2 時空間相関パターン学習(CRNN)による環境品質予測1534-1 スマートデータ利活用基盤技術の概要
元のページ ../index.html#159