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はじめに近年、気候変動による気象災害の頻発化、交通課題の増加、地域サービスの衰退、インフラ維持管理の負担増など、ICTの活用によって解決が期待される様々な社会課題の増加が指摘[1]されている。総務省では、防災や都市計画などの具体的な課題を抱える地方公共団体などによる、データを活用した効果的な政策立案や住民サービスの向上を推進[2]している。xDataプラットフォームは、実空間の多様なセンサデータを収集し、分野横断的に相関を発見・学習・予測するデータ連携分析の基盤技術を提供する。プラットフォームの利用者は、同基盤技術やユーザー開発環境を利用することでスマートサービスの開発を効率的に進めることができる。ICTによる課題解決のための参加型開発基盤としては、データサイエンティストが様々な分析課題に取り組むデータ分析コンペティションプラットフォームであるKaggle [3]、プログラマがアプリケーション開発に取り組むソースコードホスティングプラットフォームであるGitHub [4]、プログラマが情報技術の課題解決を共有するプログラミング技術のナレッジプラットフォームであるStack Overflow [5]などが知られている。xDataプラットフォームは、データ連携分析を中心としたNICTの情報資産と、利用者の独自データやノウハウを活用し、共創による課題解決を推進することを目指している。本稿では、xDataプラットフォームの取組とその活用事例について紹介する。xDataプラットフォーム2.1プラットフォームの概要xDataプラットフォームは、リモートセンシングを始めとする様々な分野のセンシングデータやソーシャルビッグデータから、実空間のイベント情報を抽出し、横断的に利用可能な形式で集積するイベントデータウェアハウス(EvWH)と、それらの相関を発見・予測するデータマイニングや機械学習などのデータ連携分析機能を実装したAPI(xData API)、これらを活用したアプリケーション開発を支援するツールによって構成されている(図1)。イベントデータウェアハウスには、NICTリモートセンシングデータを始め、環境、交通、健康等の様々な分野のセンシングデータから抽出した数百TBのイベントデータがアーカイブされている。xDataプラットフォームには、これらのイベントデータを収集し、データ連携分析を行い、その結果を12統合ビッグデータ研究センターでは、ユニバーサルコミュニケーション分野のスマートデータ利活用基盤技術の研究開発として、データ連携分析によるスマートサービスの開発基盤を構築する取組を続けている。xDataプラットフォームは、実空間の多様なセンサデータを収集して、分野横断的に相関を発見・学習・予測するデータ連携分析の基盤技術を提供し、分析結果を用いたスマートサービス開発を行うための基盤である。分析やサービス開発を効率化するため、APIや情報資産の整備を進めている。本稿ではこの取組状況について述べる。The NICT Big Data Integration Research Center continues to research and develop the platform for smart service development through cross-data analysis as a smart data utilization platform technology in the field of universal communication. The xData platform is being built to discover correlated data and predict risks by use of data mining and machine learning with collecting various real-space sensing data. We are also implementing xData APIs and xData information assets to promote the use of NICT’s analysis technology, development of smart services, and technology transfer. This paper describes the status of these efforts.4-3 xDataプラットフォームによるデータ連携スマートサービス開発4-3Developing Cross-data Smart Services using xData Platform伊藤 禎宣ITO Sadanori1694 スマートデータ利活用基盤技術

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