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ターでの安全な住環境や観光支援、交通対策の研究開発に引き継がれた。現地の研究機関が新たな技術を開発し、開発環境問題対策に向けた研究開発の継続的な実施につながっている。3.4移動環境リスク予測を用いたカーナビアプリのハッカソン移動環境リスク予測情報資産を活用したスマートサービスを具現化するためのSmart Sustainable Mo-bilityハッカソン[13]を、平成31年2月に東京都で実施した(図10)。異常気象による交通障害リスクの予測データを用いてルート案内アプリを開発するもので、ITS (Intelligent Transport Systems)事業者、技術者、大学教員など約20名が参加し、豪雨や豪雪に伴う交通障害の移動環境リスク予測に基づいて、アラートや運転リスクを通知し、それらを回避するルート案内や運転支援を行うカーナビアプリケーションの試作と運転シミュレーターを使ったデモを行った。xDataプラットフォームAPIの機能(リスクマップ配信、ルート探索、アラート通知など)を利用し、交通リスクデータを参照しながら、状況に応じたカーナビ画面表示や経路案内を容易にカスタマイズできるナビサービス試作環境を開発した。例えば、最優秀賞を受賞した「S-KNOW」では、移動環境リスク予測の結果に応じて、豪雪時、路上カメラやドライブレコーダーの動画をリアルタイムに表示する機能や、運転スキルにも合わせた運転ガイダンスを行う機能を持つアプリが試作された。参加者へのアンケート調査では、アイデアを迅速に形にできたことが高く評価され、新聞報道(日刊自動車新聞 平成31年2月27日)でも、交通リスクデータ活用をテーマにソフト開発を競うハッカソンを通じ企業の垣根を超えカーナビを考える活動として紹介された。このハッカソン等を通じて開発された移動環境リスク予測に基づくルート案内を応用し、異常気象時の交通障害リスクを回避するカーナビの実証実験を委託研究(課題番号201)等と連携し実施した。現在、これらの成果の社会実装に向けた検討を進めている。おわりにNICT統合テストベッド研究開発推進センターへのxDataプラットフォームの技術提供を進めており、サービスレイヤテストベッド(Data Centric Cloud Service: DCCS)として応用開発や実証実験を加速する環境構築を行っている。既に環境モニタリング事業者による光化学オキシダント注意報予測情報資産の応用開発で連携を実施しているほか、環境品質短期予測などの情報資産の公開へ向けた整備を実施している。また、xDataプラットフォームとDCCSの間で情報資産をシームレスに移行できるよう、機能モジュールの共通化や情報資産利用規約の策定を実施している。これらにより、今後の応用開発や実証実験をDCCSと協力しながら推進していく。また、幅広く利用者を受け容れるための環境整備を実施している。xDataプラットフォームに関心を持った潜在的な利用者が、事前評価や自己学習をしやすくするため、お試し利用環境の整備や、ローコード開発環境、ビジュアル分析環境などの整備を進めている。今後、Beyond 5G(B5G)/ 6G時代におけるサイバーフィジカルシステムの構築・活用へ向けて、大容量・低遅延・超多様なIoTデータの流通・蓄積・分析・予測を行うB5G / 6Gサイバー空間としての機能を拡充していく。参考文献】【1総務省, “令和4年版情報通信白書,” https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/pdf/01honpen.pdf2総務省, “地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブックVer.2.0,” https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000212.html3“Kaggle,” https://www.kaggle.com/4“GitHub,” https://github.co.jp/5“StackOverFlow,” https://stackoverflow.com/6“xData プラットフォーム”, https://www.xdata.nict.jp/7Peijiang Zhao and Koji Zettsu, “Decoder Transfer Learning for Predict-ing Personal Exposure to Air Pollution,” BigData 2019, pp.5620–5629, 2019.8Kiran, R. U., Saideep, C., Zettsu, K., Toyoda, M., and Reddy, P. K., “Discovering Partial Periodic Spatial Patterns in Spatiotemporal Data-bases,” 2019 IEEE International Conference on Big Data (IEEE Big-Data 2019), Los Angeles, CA, USA, 2019.9Joseph M. Hellerstein, Christoper Ré, Florian Schoppmann, Daisy Zhe Wang, Eugene Fratkin, Aleksander Gorajek, Kee Siong Ng, Caleb Welton, Xixuan Feng, Kun Li, and Arun Kumar., “The MADlib analytics library: or MAD skills, the SQL.” Proc. VLDB Endow. 5, 12, pp.1700–1711, 2012.4図10 Smart Sustainable Mobilityハッカソン1754-3 xDataプラットフォームによるデータ連携スマートサービス開発

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